2007年11月30日金曜日

iPS細胞:ヒトの皮膚から万能細胞 京大などが成功

(毎日 11月21日)

ヒトの皮膚細胞から、心筋細胞や神経細胞などさまざまな細胞に
分化する能力を持つ万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」
作り出すことに、日米二つの研究チームが成功。
患者自身の遺伝子を持つ細胞を作り、治療に利用することに道を開く技術。

クローン胚から作る同様の能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)と違い、
作成に未受精卵を使うなどの倫理的問題を回避できる。
拒絶反応のない細胞移植治療などの再生医療や新薬開発など、
幅広い応用に向けた研究が加速しそうだ。
京都大などのチーム、米ウィスコンシン大などのチームが発表。

京大の山中伸弥教授と高橋和利助教らは、
体細胞を胚の状態に戻し、さまざまな細胞に分化する能力を
よみがえらせる「初期化」には四つの遺伝子が必要なことを発見し、
昨年8月にマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作ることに成功。

これを受け、世界の研究者がヒトのiPS細胞の開発を目指し、
激しい競争を繰り広げていた。

山中教授らは、マウスでの4遺伝子と同様の働きをするヒトの4遺伝子を
成人の皮膚細胞に導入し、ヒトのiPS細胞を開発することに成功。
この細胞が、容器内で拍動する心筋や神経などの各種細胞に分化する。
iPS細胞をマウスに注入すると、さまざまな細胞や組織を含むこぶができ、
多能性を持つことが示された。
 
ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン教授らは、
胎児や新生児の皮膚細胞から、京大チームとは異なる組み合わせの
4遺伝子を使い、iPS細胞を作ることに成功。

世界初の体細胞クローン動物、羊のドリーを誕生させた
英国のイアン・ウィルムット博士は、ヒトクローン胚研究を断念する方針。
クローン胚由来のES細胞より、iPS細胞の方が治療には有望。

一方、初期化に使う4遺伝子にはがん遺伝子も含まれ、
発がんなどの危険性がある。
今後は安全性の確保が研究の焦点に。

http://mainichi.jp/select/science/news/20071121k0000m040170000c.html

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