2008年7月28日月曜日

一度の過ち 五輪消えた 〈反ドーピング最前線〉

(朝日 2008年7月24日)

一度でも禁止薬物に手を出したら、五輪選手としては「死刑」になるのか?

英国五輪委員会(BOA)は、北京五輪陸上代表選考会の
男子100メートルで、10秒00で1位になったドウェイン・チェンバーズ(30)
代表に選ばなかった。

03年に、筋肉増強剤テトラハイドロゲストリノン(THG)に陽性反応を示し、
2年間の出場停止。
違反歴のある選手を、五輪に派遣しないというBOAの内規に抵触。

チェンバーズは、BOAの判断取り消しを求めて英高等法院に提訴、
18日に訴えは退けられていた。

ドーピングに関しては、世界反ドーピング機関(WADA)が定める
「統一コード」が各国の政府、五輪委、国際競技団体が承認する世界基準。
禁止薬物の種類などにより、出場停止期間が分けられている。

チェンバーズの場合、WADAの規定に基づく2年間の出場停止を経て復帰。
米国をはじめ、他国ではドーピング歴のある選手が五輪代表として
出場する例は珍しくない。

悔い改めた選手に、再起の道を開くべきではないか。
ごく少数ながら、英国内にもチェンバーズ擁護論はあった。

国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は、厳しい姿勢を鮮明。
6月の理事会で、「6カ月以上の出場停止処分を受けた選手は、
次の五輪の参加資格を与えない」という新たな指針。

チェンバーズは、北京五輪の夢が絶たれた19日、英民放局ITVで、
故郷で開かれる12年ロンドン五輪の出場をめざし、
現役を続行する考えを明らかにした。
「私は、競技に参加したいだけ。
クリーンなアスリートとしての力を証明したい」

BOAは、「我々は、ドーピング歴のある選手には
英国代表のユニホームを着させない強いメッセージを今後も送り続ける」。
自国開催の五輪でも、薬物汚染の過去を持つスプリンターを
復帰させる可能性は極めて低そう。

http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200807240207.html

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