2007年11月8日木曜日

ストレッチングでは筋肉痛を予防できない

(MebMD 10月17日)

激しい運動の前後のストレッチングによって、
筋肉痛の苦しみから解放されることはないという。

シドニー大学の研究者らは、10件の研究を調査後、このような結論に達した。
Marcos de Noronhaは、「ストレッチングには、筋肉痛の予防効果はないという
非常にはっきりとした結果が明らかになった」。

ストレッチングの効果の有無に関する議論は、長年にわたって続いている。
支持する人々は、ストレッチングには筋肉痛を軽減するだけでなく、
パフォーマンスを高めたり、ケガのリスクが低下したりすると主張。

シドニー大の研究者らは、ストレッチングで筋肉痛が軽減するか、にのみ注目。
ストレッチを行う理由が筋肉痛の予防のためだけである場合、
「ストレッチは実際には効果がないため、この面倒な作業を行う必要はない。
しかし、ストレッチングで気分が良くなるのであれば、
ストレッチングが有害であるというエビデンスはないので、ストレッチングを行えばよい」。

de Noronha氏は、筋肉痛に対する大筋群のストレッチングの効果についての
長年にわたる議論が沈静化すると述べているが、
他の専門家はストレッチングが有効であり、議論はまだ終わっていない。

●試験の詳細

シドニー大の研究者らは、激しい運動後1日以内に発現し、
約48時間でピークに達する遅発性筋肉痛に注目。
9件の試験は、実験室で実施され、被験者が運動後、
筋肉痛の程度について申告するもの。

1件の試験は、フットボール選手が試合後の筋肉痛について申告するもの。
3件の試験は、運動前のストレッチングに注目し、
他の試験は運動後のストレッチングについて評価。
6件の試験では、ストレッチ群または非ストレッチ群に

無作為に割り付けられた被験者の比較。
被験者は、1回につき40~600秒間のストレッチングを行った。
De Noronha氏とRobert Herbert氏は、
100ポイントスケールを用いて運動後の筋硬直を評価。
運動前にストレッチングを行った場合、運動翌日の筋肉痛の緩和は、
平均すると100ポイントスケールで0.5未満。
運動後にストレッチングを行った場合、翌日の筋肉痛緩和は1ポイント。
「運動の半日~3日後の間に同様の効果が明らかになった」。

●セカンドオピニオン

カナダアルバータ州カルガリー在住の開業運動生理学者で、
米国スポーツ医学会の広報担当者であるMichael Brackoは、
「完全に筋が通っている」。

Bracko博士は長い間、ストレッチングでは筋肉痛を予防できないと考えてきた。
「非常に優れた調査であり、われわれが以前から知っていた情報と同じ」。
筋肉痛が出始めてからストレッチングを行うと、
筋肉痛が一時的に緩和する可能性がある。
「しかし、鎮痛効果の持続時間はほんの15~20分にすぎない」。

しかし、カリフォルニア州ロングビーチ在住のスポーツ足病医である
Pedram Aslmandは、この新しい調査でストレッチングとその筋肉痛に対する
効果に関する議論が終結するとは考えていない。

「筋肉痛に対するストレッチングの効果をコントロールすることは難しい」。
一部の被験者は、ストレッチングを行っても筋肉痛が生じる
構造的異常(腓筋の短縮等)を有していた可能性があり、
このことが結果を歪曲している。

●アドバイス・・・ストレッチをすべきか否か?

ストレッチングは、運動をする人が望むことを満たすものではないかもしれないが、
これには害はないだろう。

Aslmand博士は、ストレッチングはケガを防止したり、
パフォーマンスを向上させたりする可能性もある。
Bracko博士は、定期的にストレッチングをした場合に
ケガをある程度防止することができることを認めた。
多くのアスリートにとって、ストレッチングは儀式以外の何物でもなかったと
Bracko博士は述べる。

ストレッチングによって筋肉痛が緩和しないなら、どうしたら筋肉痛が緩和するのか?
「軽い運動をすればよい」と指摘。

Marcos de Noronha, PhD candidate, University of Sydney, Australia. Herbert R. The Cochrane Database of Systemic Reviews 2007, Issue 3: pp 1-28. Pedram Aslmand, DPM, Long Beach, Calif. Michael Bracko, EdD, consulting exercise physiologist, Calgary, Alberta; spokesman, American College of Sports Medicine

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=58764

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