2008年9月9日火曜日

教師力08(7)「映像作り」思考力養う

(読売 9月3日)

情報機器を使った授業の効果を研究する教師がいる。

東京・新宿の高層ビルのフロアを、ビデオやカメラを手にした
教師が行き交っていた。
パソコンメーカーが主催して8月上旬に4日間にわたって開いた
メディア機器の活用法の研修会。
北海道から沖縄県まで全国から集まった50人の教師の中から、
3日目は熊本市立飽田東小学校の前田康裕教諭(46)が指導役に。

自らが取り組んでいる「映像作り」の授業を、
1日がかりで体験させるため、4~6人のグループごとに、
教員向けの指導用ビデオを作らせる。
必要な映像や写真に付けるナレーションやセリフは、
お互いの案を見比べて推敲を重ねる。
「こっちのセリフの方がわかりやすいよ」。
各グループの議論はたちまち白熱した。

参加者の様子を見て、前田教諭は
「ビデオの操作とか編集の技術とかは二の次。
重要なのは、つたない言葉でもいいから自分の意見を伝え、
ほかの人の意見に耳を傾けながら、結論を出していくこと」。

2004年度から2年間、岐阜大学インターネット型大学院で
教育工学を学んだ。
1年目は熊本大学付属小学校、2年目は飽田東小学校で
教べんを取りながらの勉強。
進学できたのは、現職教師の学びを応援しようという熊本県教委の
働きかけに応じた岐阜大学が、熊本市内にサテライト教室を開いたおかげ。
当時は、総合的な学習の時間の情報教育や英語活動の授業計画を
作る役を任され、「とても学校を離れられる状況ではなかった」。

週2回、午後6時から大学院で始まる講義を、
市内の県立高校の一室でスクリーンを見ながら受講、
ゼミには自宅からテレビ電話で参加。
研究テーマは、自分が学校で実践してきた「映像作り」の授業法。
研究は大学院修了後も続け、授業が子供たちの学習意欲や興味を向上させ、
経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査(PISA)で
求められている論理的思考力を育てることを実証。

普段の授業では様々な教科に、映像作りを取り入れている。
テレビなどの映像の仕組みを記した国語の説明文を読んだ後、
実際にカメラで学校内を撮影して作品を作る。
英語活動では、英会話番組を作ろうという課題を出し、
子供たちに知恵を絞らせる。
子供たちが必死に考え抜くまで、「合格点」は与えない。

授業の原型は1999年、総合的な学習の授業づくりを通じて知り合った
米国在住の教育関係者に誘われ、サンフランシスコまで
自費で行って受けた研修。
自分が経験したことのない学習スタイルに、日米の教育の違いを見た。

これ以来、「教科書の内容を覚えさせるのではなく、
自分の意見を発信する力を育てる。それが日本の教育には欠けていた」。

次世代を担う子供たちに、世界で通用する力を付けるため、
研究は続けていくつもりだ。

◆サテライト教室

学生の便宜を図るため、本来のキャンパスとは別に設ける教室。
現職教諭向けには、通学に便利な駅前などに、
兵庫教育大や京都教育大なども設けている。
大学の教員が赴く場合とテレビ会議システムなどを使う場合があり、
岐阜大は後者。2002年に岐阜県内で始めた。
06年から、インターネットでどこでも受講できる形に変わった。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080903-OYT8T00232.htm

0 件のコメント: