2007年11月15日木曜日

ウォーキングによって骨量減少を予防できるか

(Medscape 10月29日)

早足でのウォーキングによって、前立腺癌治療に伴う重度の骨量減少が回復し、
骨折および骨粗しょう症のリスクを低く抑える可能性がある。

ジョンズホプキンス病院(ボルチモア)看護学部の
臨床指導者兼上級研究助手Paula Chiplisは、
前立腺癌のため、アンドロゲン枯渇療法(ADT)や放射線療法を受ける

男性を対象とした小規模試験において、
8週間、週5日、30分間の 速いペースでの散歩によって
骨の強度が増加し、運動を行わなかった男性では骨量が減少した。

ジョンズホプキンス病院のJennifer Wenzelは、
「健常な男性において、骨密度減少が現れ始める年齢に、
運動によって前立腺癌患者の骨量が増加した。このことは実に興味深い」。

癌が前立腺に限局している男性では、
ADTと同時に放射線療法が行われることがある。
放射線療法は、癌細胞を死滅させるために用いられる。
ADTは、癌細胞に栄養を与えるアンドロゲンと呼ばれる
ホルモンの産生を抑制し、癌の増殖を遅らせ、生存の可能性を高める。

しかし、アンドロゲンは骨強度を高めるのにも役立つため、
アンドロゲンを抑制することで、「男性更年期」状態を引き起こし、
骨が弱くなり、骨折および骨粗しょう症のリスクが高くなる。
また、放射線療法も骨を弱くすると考えられている。

試験では、早足でのウォーキングによって
ほんの8~10週間で骨量が0.49%増加。
運動を行わなかった男性では、2ヵ月間の試験期間中に骨量が2.21%減少。
健常男性では中年期以降、年間に0.5~1%骨量が減少。
さらに、ADTを受ける男性では、骨密度が年間に4~13%減少する。
「これらの基準を考慮すると、運動の効果は絶大である」。

被験者の半数は、ADT療法中に週5日、20~30分間の
早い速度でのウォーキングを行った。
2週間ごとに、気分について電話で尋ねた。
運動群の被験者は、気分に応じて、運動を控えたり、強化したりするように指示。

ハーバード大学医学部の癌専門家Phillip M. Devlinは、
担当した看護師が被験男性にやる気を起こさせ、
活動的に過ごすように仕向けるのに役立ったと思われる。
Devlin博士は、前立腺癌の男性に体を動かすよう指導。

効果を得るためには、どのくらいの速度で歩く必要があるか?
Chiplisは、「できる限り速く、まだ会話が続けられる程度の速さ」。

American Society for Therapeutic Radiology and Oncology (ASTRO) 49th annual meeting, Los Angeles, Oct. 28-Nov. 1, 2007. Paula Chiplis, PhD, RN, clinical instructor and senior research assistant, department of nursing, Johns Hopkins Hospital, Baltimore. Jennifer Wenzel, PhD, RN, assistant professor, Johns Hopkins University School of Nursing. Phillip M. Devlin, MD, assistant professor, department of radiation oncology, Harvard Medical School; ASTRO spokesman.

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