2007年11月14日水曜日

地球にやさしいエネルギーシステム、太陽光発電の進展を目指す研究センターが誕生

(nature Asia-Pacific)

岐阜大学未来型太陽光発電システム研究センター

太陽電池を使う太陽光発電は、
温室効果ガスを出さないクリーンなエネルギーシステムで、
エネルギー源は無尽蔵、設備が小さく、設置場所に合わせて大きさを変えられる、
監視やメンテナンスもほぼ不要、リサイクルもしやすい、
という大きなメリットを持つ。

日本の太陽光発電システム設置量は、世界のトップレベルであるが、
変換効率が低くて発電量が小さく、コストが高く、昼間にしか発電できない、
発電量が気象条件に左右されるというデメリットがあり、
電気事業法等の制度上の理由もあって、大量普及には至っていない。

岐阜大学未来型太陽光発電システム研究センターは、
太陽光発電システムにターゲットを絞った研究組織で、2006年12月に誕生。
太陽光発電システムに関する研究を行う同大学の3つのプロジェクトが
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成研究費を受けたことを契機に、
高効率・大面積・長寿命・高信頼性・低コストのシステム開発を目指し、
共同研究やネットワーキング、人材養成を進めるのを目的として開設。

工学部の25名の研究者が所属し、
①薄膜シリコン系太陽電池研究開発部門、
②発電量評価技術研究開発部門、
③色素増感太陽電池研究開発部門
に分かれて、研究を行っている。

薄膜シリコン系太陽電池研究開発部門は、
野々村修一センター長を中心に、
シリコン系太陽電池をさらに高効率化するための研究を行い、
アモルファス(非晶質)シリコン薄膜の研究を日本で初めて行った
という岐阜大学の伝統を受け継いでいる。

微結晶シリコンカーバイドやゲルマニウム系薄膜など新規材料の開発や、
透明電極に使う原子状水素による透明性の損失を防ぐため、
酸化チタンを保護膜として貼り付ける研究、
走査型プローブ顕微鏡を用いた薄膜上の微小領域での特性評価技術の開発。
太陽電池は、昼間にしか発電できないため、
小型で効率のいい蓄電システムの開発も課題だ。

伊藤貴司准教授は、微小なグラファイトが自立的に壁状に発達する
カーボンナノウォールを蓄電用大容量キャパシタに応用する研究。

発電量評価技術研究開発部門では、
太陽電池の発電量を左右する気象条件についての研究。
小林智尚教授は、大気環境の細密時空間分布の気象モデルと
その解析・予測システムの開発。

太陽電池の効率は日照時間だけでなく、
大気中の水蒸気やエアロゲルなどさまざまな条件によって
その場所・時間で強くなる太陽光のスペクトル成分にも左右される。
このシステムは、発電効率の高い地域を選定したり、
地域の気象条件に合った太陽電池を選んだりするのに役立つ。

色素増感太陽電池は、
有機材料を使うため、材料が手に入りやすく、
毒性がない、軽量でデザイン性が高くなる。
未来の太陽電池として期待。

吉田司准教授が、酸化亜鉛薄膜の電界メッキを使う独自の方法を開発。
光や電子を通しやすい構造の酸化亜鉛薄膜をプラスチックに貼り、
カラフルな有機材料の増感色素を用いた太陽電池を作成。

野々村センター長は、「センターとして目的を明確にしたことで、
研究者や企業が集まりやすくなり、情報交換や産学連携が活発に」。
他大学出身の学生が大学院に入学するなど、
将来の研究を担う人材養成も徐々に軌道に乗っていきそう。

同センターのホームページ www1.gifu-u.ac.jp/~solar/program.mht

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=57

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