2007年12月17日月曜日

新しい波/249 ドーピング対策/中 厳格対応のIOC

(毎日 7月14日)

グアテマラで4日にあった国際オリンピック委員会(IOC)総会で、
ソチ(ロシア)が決選投票の末に、平昌(韓国)を上回って
14年冬季五輪の開催地に決まった。

国際大会の経験が豊富で知名度も高いザルツブルク(オーストリア)は、
第1回目の投票で敗れた。

ドーピング(禁止薬物使用)対策の不手際が、惨敗の決定打に。

オーストリアは、昨年のトリノ五輪でバイアスロンの男子選手ら6人が
ドーピング規則に違反した。
IOCは、4月の理事会で6選手を五輪から永久追放とし、
オーストリアに対する補助金100万ドル(約1億2000万円)支払いも差し止め。

検査では陰性だった6人を、「禁止薬物の所持」という状況証拠で
厳しい処分にしたことはIOCの断固たる姿勢を象徴。
その中で、IOC委員がザルツブルクを高く評価するのは無理があった。

IOCではこれまで、72年ミュンヘン五輪での選手村襲撃事件や、
東西両陣営による80年モスクワ、84年ロサンゼルス両五輪の
ボイコットの応酬など、五輪の存在を揺るがす危機的状況に対応。

近年のIOCの動きをみると、ドーピング問題も、
それらの事件と同じくらいの重みをもった懸案事項に。
競技の公平性と選手の健康を損なう危険は、スポーツの根幹にかかわる問題。

そうした状況の下、東京都が招致を目指す16年夏季大会も
反ドーピングへの姿勢が問われる。

日本は、IOCが立候補の前提としているユネスコ(国連教育科学文化機関)の
「スポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約」を批准。
世界反ドーピング機関(WADA)の常任理事国でもあり、
アジア・オセアニア地域事務所も東京・国立スポーツ科学センター内にある。
検査の陽性率は0・14%(05年)と低く、クリーンなイメージも定着。

東京オリンピック招致委員会の河野一郎事務総長は、
日本オリンピック委員会アンチ・ドーピング委員長も兼ねる。
禁止薬物対策の重要性を認識しているだけに
「日本は、国際的には貢献度が高い。
ただ招致を実現するには今後、
国の協力など国内での取り組み強化が求められる」。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070714ddm035070152000c.html

0 件のコメント: