2007年12月20日木曜日

抗癌効果のある食事はあるのだろうか?

(Medscape 12月6日)

ある種の果物と野菜が癌のリスクを低下させ、
その通過路に発生する癌を抑制するのに役立つ可能性がある。
「抗癌作用をもつ食事」が現実に存在するわけではないが、
ある種の果物と野菜を多量に摂取することは、
発癌リスクを低下させるのに役立つと、研究者らは報告。

その知見は、果物と野菜の摂取量が多いことが癌リスクの低下と
関連することを明らかにした、以前の研究を確認および補強するもの。

最新の「A」リストには、ブラックラズベリーが食道癌の予防
ブロッコリーのようなアブラナ科の生野菜が膀胱癌の予防に推奨。

オハイオ州立大学総合癌センター(コロンブス)の栄養学の准教授
Laura Krestyは、「魔法のような効果のある食物はない。
重要なことは、多様な果物と野菜を食べよ、旬のものを食べよということ。
本当に目指すべきことは、果物と野菜の総摂取量を増やし、
野菜中心の食事を摂るように努めること」。

ブラックラズベリーを食べることが、
食道癌になるリスクの高い人々を保護する可能性がある。
動物実験において、ブラックラズベリーが口腔、食道、結腸の癌を抑制。
果物は、酸化ストレス、フリーラジカルによる細胞破壊を減らし、
DNA損傷と細胞増殖速度を軽減する。

バレット食道と呼ばれる食道の前癌病変を有する高リスク患者を対象。
バレット食道患者は食道癌のリスクが30 - 40倍高い。
食道癌は致死的であり、5年生存率は15%。

20例の患者が、凍結乾燥したブラックラズベリーを1日に1オンス(28.3g)
または1.5オンス(42.5g)(男性はより多く)、26週間摂取。
酸化ストレスのマーカーである尿中8-イソプラスタンを測定。
「58%の患者は、8-イソプラスタンが顕著に減少」。

発癌物質の無毒化を促進するGSTpiという酵素の組織内レベルも検討。
37%の患者で、保護作用を有する酵素が増加。
癌が発生した人々が減少したかどうか、長期追跡調査は行われなかったが、
Kresty博士は、果物には「保護作用がある」と。

Roswell Park癌研究所(ニューヨーク州バッファロー)の研究者らは、
ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ、カリフラワーのような
アブラナ科の生野菜は、膀胱癌のリスクを約40%低下させる。
それらの野菜には、膀胱癌に対する保護効果を有すると考えられる
イソチオシアン酸塩、ITCという化合物を含む。

Roswell Park研究所Li Tang, MDは、
「生のアブラナ科の野菜は、加熱調理した野菜よりも良い。
調理中にイソチオシアン酸塩の量が60% - 90%減少する」。

膀胱癌と診断された275例、健康な被験者825例の食習慣を調査。
診断前の生および加熱調理済みの野菜の摂取、喫煙習慣、
他のリスクファクターについて質問。
1カ月にそれらの野菜を3食分以上摂取した非喫煙者は、
1カ月に3食分未満しか摂取しなかった喫煙者と比較して、
膀胱癌になる可能性が約73%低い。

Roswell Park癌研究所の腫瘍学の教授Yuesheng Zhangは、
ブロッコリースプラウトは膀胱癌の予防に、より優れている可能性がある。
4群の動物を用い、1つの群には膀胱癌を誘発する溶液を飲ませ、
ブロッコリースプラウトの凍結乾燥抽出物を摂取。
他群には、ブロッコリー抽出物のみ、発癌物質のみを摂取。
もう1つの群は対照群とし、何もしなかった。

10カ月後、「発癌物質のみを摂取した動物の96%に、腫瘍が発生」。
発癌物質とブロッコリー抽出物の両方を摂取した動物のうち、
癌が発生したのは37匹のみ。
この場合も、保護効果を示すと考えられるのはITC。
ブロッコリースプラウトは、発癌物質を無毒化する上で
重要な2つの酵素を活性化することによって効果を発揮。

American Association for Cancer Research's Sixth Annual International Conference on Frontiers in Cancer Prevention Research, Philadelphia, Dec. 5-8, 2007. Laura Kresty, PhD, assistant professor of nutrition, Comprehensive Cancer Center, Ohio State University, Columbus. Yuesheng Zhang, MD, PhD, professor of oncology, Roswell Park Cancer Institute, Buffalo, N.Y. Li Tang, MD, PhD, Roswell Park Cancer Institute, Buffalo, N.Y.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=64059

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