2007年12月18日火曜日

新しい波/250 ドーピング対策/下 高まる国の責任

(毎日 7月21日)

国際オリンピック委員会(IOC)は、
今月上旬にグアテマラで開いた総会でユース五輪の創設を決めた。
14~18歳を対象にした大会は、競技力を争うだけでなく、
五輪精神や反ドーピング(禁止薬物使用)などの
教育活動が盛り込まれている。
IOCのロゲ会長は、「若者への投資」と話した。

ユネスコ(国連教育科学文化機関)の
「スポーツにおけるドーピングの防止に関する国際規約」
(ユネスコ規約、2月1日発効)も継続的な教育の必要性を掲げる。

ドーピング防止活動は、検査による「取り締まり」だけでなく、
薬物に手を出させない教育も重要視。

国内でも、反ドーピング教育の議論は始まっている。
文部科学省と日本オリンピック委員会(JOC)などが主催した
6月のスポーツコーチサミットでも分科会テーマに取り上げ、
「学校での教育の充実」や
「薬物乱用防止キャンペーンなど社会運動との連動」などの手法が語られた。

だが、まだ学校教育では高校の保健体育の教科書で触れられている程度で、
教員や教材の確保など課題も。

日本は、ドーピング検査の陽性率が0・14%(05年)で、
その大半が不注意によるものとされる。
ドーピングへの危機感は海外ほどではない。

ただ、五輪の商業イベント化が進み、注目度や選手の報酬が高まる中、
選手にはますます勝利への重圧がかかる。

一方で、麻薬などの乱用も社会問題に。
取り巻く環境の変化を考えれば、
「容易にドーピングのリスクの高い国になる可能性だってある」と
日本アンチ・ドーピング機構の浅川伸事務局長は訴える。

12月には、国内初のナショナルトレーニングセンターが東京都北区に完成。
国としても、五輪でのメダル獲得に取り組み始めるだけに、
ドーピング対策の責任も高まる。

16年夏季五輪の東京招致は、
国内で反ドーピング教育を広げるチャンスでもある。
スポーツの価値を守る反ドーピング活動は、
オリンピックムーブメント(五輪精神を広げる活動)に通じる。

日本は、ユネスコ規約の批准をはじめ法整備では国際的基準に達した。
実際に、ドーピング対策にどう取り組んでいるかを示せなければ、
招致活動への国際的な理解も得られないだろう。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070721ddm035070063000c.html

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