2007年10月5日金曜日

“健康長寿世界一”の復権目指しアクションプラン 沖縄県が年度内に策定へ

(じほう 2007年9月21日)

沖縄県は、長寿県としてのイメージが強い。
海に囲まれた温暖な風土とバランスのとれた食事、穏やかな県民感情
といった印象が、長寿のイメージを補強しているが、
実は健康長寿の実態は崩れ始めている。

2002年(2000年版完全生命表)の都道府県別平均寿命では、
女性は1位を維持したものの、男性は26位に転落。
1995年は男性は4位だったが、7年後には一気に順位を下げた。
女性も、05年版では1位から滑り落ちるとの見方が有力。

02年の発表は、沖縄では「26ショック」という言葉を定着させ、
県民に大きな衝撃を与えた。
同県の医療関係者には、急速に悪化した心身の健康問題に対する憂慮は深い。

「健康おきなわ2010推進県民会議」を通じて、実効性のある対策づくりが本格化、
12月には具体策を盛り込んだアクションプランが明らかになる見通し。

全国平均を大きく上回る男性の肥満

沖縄県では、県民の肥満傾向が急速に広がっている。
02年、「健康おきなわ2010」を策定、
全国に先駆けて積極的な健康増進政策に乗り出してはいたが、
「26ショック」はあらためて沖縄の健康対策の重要性をあぶり出すものに。

今年7月に出された06年度県民健康・栄養調査結果をみても、
各種の指標には重たい課題がある。
特に若い人の脂肪エネルギー摂取は、全国の状況を先取りした感もあり、
沖縄の状況は多くの示唆を投げかける。

沖縄県の男性の平均余命は、年齢が若くなるにつれて下位に。
65歳以上で1位なのに、0歳では26位に転落。
長野県が各年代で上位を占めるのとは対照的。
女性は、各年代にわたって1位を維持しているが、
若くなるにつれて差が縮小する傾向がみられる。

この要因がどこにあるかを推定するには、
若い世代の肥満の状況をみるとわかりやすいが、
沖縄県は同時に自殺や事故といった死亡原因も高い。
若年世代の「太りすぎ」が要因の第1だとしても、
本土との経済格差、雇用問題など複合する問題も大きい。

ここではBMIを中心に、身体的健康状況に焦点を当ててみる。

昨年6月、「健康おきなわ2010」の中間評価をまとめた。
危険因子について、「肥満傾向に焦点を」と呼びかけられ、
健康政策の最大のテーマが「肥満対策」にあることが明確。

06年度県民健康・栄養調査結果では、
成人の肥満の状況が第1にクローズアップ。
これは、国に先駆けて、1年前倒しでの発表。
県民の意識向上に向けて、行政も含めた、強い危機意識を象徴。

男性は、各年代でBMI25以上の割合が全国平均を上回る。
女性も、20代と40代以上で全国平均を上回る。
男女ともに、70代以上ではBMI25以上が5割を超え、
全国平均と大きな落差をみせている。
男性の肥満傾向は大きな課題だ。

どうしてこのような状況が生まれるのか?

生活文化、食文化に独自の要因があることは明らか。
BMI平均値(15歳以上)は、それほど変化していない。
県民健康栄養調査結果からの比較では、男女ともに10ポイント以上低下し、
ここ10年間ほどは改善の兆候がみえる気配はある。

しかし、「健康栄養調査結果は客体数が少なく、直ちに改善があったとはいえない。
健診データを見る限り、肥満傾向は改善していないか悪化している」
と厳しい警戒を示している。

全国の改善状況を下回る循環器疾患死亡

沖縄県の疾病構造にどのような影響を与えているだろうか?

「健康おきなわ2010・中間評価報告書」は、
沖縄県と全国との平均寿命の差が縮小した最も大きな要因は、
心疾患、脳血管疾患の死亡率の低下が全国に比較して小さい。
全国の死亡率は、脳血管疾患が減少して、がんが死亡原因の第1位。

03年の沖縄県の人口10万対脳血管死亡率は、
男性55.6、女性28.4(全国男性66.5、女性39.2)だが、
脳出血死亡率は男性20.9、女性10.5(同19.7、9.8)、
虚血性心疾患は男性45.6、女性18.0(同43.1、19.6)、
心筋梗塞死亡率は男性34.6、女性12.8(同27.2、12.6)。
いずれも時系列的には減少がみられるものの、
脳出血、心筋梗塞はすでに全国平均を上回っている。

糖尿病も深刻な状況だ。
死亡率は全国的にもワースト2で、時系列的には70年代には
人口10万対5-7で、全国の9-12を大きく下回っていたが、
90年代以降は8-10となり、全国平均を上回っている。
90年代は50歳以上世代で、70年代の死亡率の2倍となる傾向も。

高血糖者の増加も著しく、特に40-60代の男性では
99年から03年までの間に、各年代で5000人ずつ増加。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=55444

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