2007年12月26日水曜日

9・11後ビザ規制の影響から米国の大学院教育は復活したが、国際競争でどれほどの才能が流出したか?

(nature Asia-Pacific)

2001年9月11日のテロ攻撃の余波で、米国はビザ規制を強化。
この厳重な警戒体制のために、米国の専門大学・総合大学に応募し
入学が許可された海外からの大学院生の数が減少。

実際に米国大学院審議会(CGS)の調査によると、
2003~2004年の間に海外からの留学希望者は28%減少し、
入学許可者数は18%減少。

米国大学院プログラムの活力源とみなされる、海外からの才能を失うことは
教育機関および就職に悪影響を及ぼすと危惧した人は多い。

新たな手続き方法が整備され、ビザ発給遅延の多くには対応が施され、
海外からの応募学生数は増加し始めた。

しかし、海外からの応募を阻んでいるのはビザ問題だけだろうか?
国際的な競争が高まる中、関心が薄らいでしまったためだろうか?
これらの要因が共に働き、ビザ問題によって才能の流出が加速した。
CGSの最新の数字に、その答えに対するヒントがある。

米国の大学院が留学希望者に与えた入学許可の件数は、
2006~2007年までに全ての分野で8%増加。

昨年の12%の増加からは減少したものの、3年連続の増加。
生命科学分野の応募は18%増加し、入学許可は11%増加、
物理科学分野の応募は12%増加し、入学許可は8%増加。
ある程度まで大学は立ち直ったように思われ、
つまりビザ規制は確かに有能な人材の流れを阻んでいた。

米国の大学と国際大学との間の合同プログラムおよび
二重専攻(dual degree)プログラムに関するCGSの報告では、
実に30%もの大学院がこのプログラムに取り組んでいる。

競争は、大学院教育の国際化にある。

現時点では、米国の大学院教育の制度はその魅力を失っていない。
だがCGSの結果においては、海外からの学生は学位取得後、
母国へ戻る可能性が高いという事実は考慮されていない。
入学希望者だけではなく、仕事を求める修士やPhDの修了者にとっても
国際競争は高まっているのである。

Nature Vol. 449, P. 109, September 2007

http://www.natureasia.com/japaz/tokushu/detail.php?id=46

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