2007年12月24日月曜日

あしたのかたち/79 強い関大/3

(毎日 6月2日)

「千里凱風寮」は、阪急千里山駅から徒歩数分の住宅街に。
スポーツフロンティア(SF)入試で入学した学生用に、04年に完成。
入寮期間は原則1年間で、約50人が暮らす。
食堂はなく、夜になると、コイン式ガスコンロの前に学生が並ぶ。
柔道部の河津一也さん(2年)は、
「練習で疲れて帰ってきてから食事を作るのは、少しつらい」。

寮は、栄養を管理して、戦う体を作る場。
「食事がなくては意味がない」と野球部の土佐秀夫監督。
森本靖一郎理事長は、「(業者と)提携するような形でやっていきたい」
しかし、改善のめどは立っていない。
1室12平方メートルと手狭のうえ、浴室もないなど課題は山積み。

スポーツの強化、振興について、森本理事長は三つの柱を挙げる。
素質のある学生の獲得が第一。二番目はいい指導者、三番目はいい施設」。

だが、数十億円を投じてアイスアリーナ、柔道場や射撃場などが入る
「養心館」など専用の施設が次々と建設される一方で、
人工芝グラウンドはサッカー、アメリカンフットボール、ラグビーなどの共用。
体育の授業でも使用されるため、利用時間は午後2時半以降となり、
早朝練習で補っているクラブも。

昨夏から人気スポーツの野球、サッカー、アメフットに、
大学の特色を生かした競技としてアイススケート、アイスホッケー、陸上を
加えた6クラブが重点強化指定され、
学長任命制の指導者も常勤職員や嘱託という形で雇用して
フルタイム指導ができる体制を整えた。
今後は、準重点強化クラブも導入する予定。

それでも、現場からは不備を指摘する声が出る。
部員が100人を超えるサッカー部の場合、
常時指導できるのは島岡健太コーチだけ。
レベルに応じて4班に分けることで対応しているものの、
限界があり、一般入試組の入部受け入れを保留せざるを得ない。

「SF組が、トップ選手であり続ける保証はない。
いい素材をきちんと育成する環境を整えなければ、好成績は維持できない」。

SF入試導入から5年。
現場の要望は、受け入れ側の充実にシフトし始めている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070602ddn035070060000c.html

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