2007年12月23日日曜日

ビジネス教育の必要性を示したバイオサイエンス業界求人の短期調査結果

(nature ASia-Pacific)

1970年代のバイオテクノロジーの興隆以来、
バイオサイエンスの世界とビジネスの世界との距離は
これまでになく近くなっている。

しかし、バイオサイエンス業界に関心を抱く求職者にとっての
ビジネス教育のメリットとはどれほどのものであろうか?

いくつかの利点があげられるだろう。
例えば、製薬業界は深刻な人員削減にあえいでいる(Nature 448, 965; 2007)。

しかし、まだ仕事の場がなくなってしまった訳ではなく、
ビジネス教育もその足掛かりの1つ。
ビジネス教育が、どの程度の機会拡大につながるかは測りがたいが、
ビジネススキルを取り込んだバイオサイエンスの学位を取得できる
カリフォルニア州クレアモントのKeck Graduate Instituteは、
この実情を評価する報告書を発表(http://www.kgi.edu/x6503.xml)。

Molly Schmid氏とHelen Liu氏は、
製薬企業の収益上位5社(ファイザー社、グラクソスミスクライン社、
サノフィアベンティス社、メルク社、ジョンソンエンドジョンソン社)、
バイオテクノロジー企業の上位4社(アムジェン社、ジェネンテック社、
バイオジェンアイデック社、ジェンザイム社)において、
公募されていた3,790件の求人について調査。

研究開発(R&D)の求人は、全体のおよそ17%であり、
残りはビジネス関連業務の求人。
内訳は、7%が製造、24%が管理(情報技術、財務、法務などの業務)、
25%が規制関連業務(品質管理、テクニカルライティング、統計解析)、
27%が販売・営業。

この結果は、ちょっとした警鐘に。
「通常、学者達は産業界で得られる職種がどんなものかについて
調べたり考えたりしていません。多くの人は本当に驚くことでしょう。
R&Dは、もっと多いと考えていたはず。」

この調査は、1ヶ月間という短期的なものに過ぎないが、
この数字は多様なスキルを持つことの重要性を示している。
「学生達は、科学教育を受けたことによって手に入れることができる
職種について理解する必要があります。
有機化学の研究室では、そのようなメッセージは得られない」。

Nature Vol. 448, P.1077, August 2007

http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=45

0 件のコメント: