2007年12月29日土曜日

新しい波/255 スポーツ立国/中 政界と急速に接近

(毎日 12月22日)

「五輪のときだけ『勝て勝て』と言われても、ふだんは満足に補助をしてもらえない。
スポーツ振興は国策でやってほしい」。
日本オリンピック委員会(JOC)選手強化本部の福田富昭本部長は、
現場の立場でスポーツの国策化を声高に訴えてきた一人。
今年度、文部科学省のスポーツ関係予算は186億1100万円
文化庁の1016億5500万円(今年度)と比べて、著しく少ない。
福田本部長は、「スポーツは国民の生活に浸透しているのに、この差は何か」。

来年1月末には、東京都北区に初の国営施設となる
ナショナルトレーニングセンターが開設
だが、施設利用料ばかりか、海外遠征など選手強化費も
3分の1を競技団体が負担。
財政基盤の弱い競技団体では、負担に耐えられず、
海外遠征などを返上する例も。
欧米などのスポーツ先進国では、国が全額負担するのが常識。
日本では、北京五輪を目前に控えても強化の現場は危うい。

戦後、日本のスポーツ強化は長く企業に支えられてきた。
しかし、90年代後半以降撤退が相次ぎ、次に切り札として期待されたのが
01年から販売が開始されたスポーツ振興くじ(toto)。
今年度はBIG(ビッグ)効果で、初年度の643億円に次ぐ
486億円(8日現在)に売り上げを伸ばしたが、
昨年度末時点で264億円ある累積赤字が重くのしかかる。
当面は、借金返済に傾斜せざるをえない。
そこで「国にお願いしたい」(福田本部長)との結論に。

福田本部長は、昨年春に国策論をうたったリポートを作成。
その理論を補強したのが、
16年東京オリンピック招致委の河野一郎事務総長(JOC理事)、
JOC情報・医科学専門委員会の勝田隆副委員長ら。
顔ぶれは、自民党の遠藤利明衆院議員の私的懇談会のメンバーと重なる。
その懇談会が8月にまとめた「スポーツ立国ニッポン」は、
自民党スポーツ立国調査会(麻生太郎会長)の議論のたたき台に。
スポーツ界は急速に政治と結びつき、
悲願の強化資金確保に向け歩みを進めている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20071222ddm035050088000c.html

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