2008年7月22日火曜日

胎児の生物時計:母の食習慣が影響 東北大助教、ラットで確認

(毎日 7月13日)

ラットの胎児の体内で、約24時間周期のリズムを刻む「生物時計」が、
昼夜の日照の変化ではなく、妊娠中の母親ラットがいつ食事をするか
という「食習慣」の影響で決まることを、
東北大病院周産母子センターの太田英伸助教(発達生理学)らが発見。
多くの生物は、生物時計を刻む時計遺伝子を持っている。

太田助教らは、胎児の生物時計が母親から受ける影響を調べ、
人工照明で12時間ずつ昼夜が交代する環境を作り、
妊娠中のラット10匹を飼育。

5匹は1日1回、照明の点灯から5~9時間後にだけえさを与え、
残る5匹はいつでも自由に食べられるようにした。
後者の5匹は、夜行性の習性で自然と暗くなってからえさを食べた。

母親と胎児の脳と肝臓で時計遺伝子「Per1」の発現と、
日照を受けた情報を伝えるホルモン「メラトニン」の分泌リズムを調べた。

母親は、昼に食べたグループも、夜に食べた方も全く同じリズム。
胎児は、母親が昼型の食事をしているとリズムのピークが昼だが、
夜型だとピークも夜に変化した。

母親の生物時計は、人間が太陽を浴びて時差ぼけを治す時のように、
日照の変化で決まるが、胎児は日照以上に、
母親の食事スケジュールの影響を強く受けている。
胎児も生まれた後は、日照リズムに合わせて生物時計が調整される。

太田助教は、「生物時計の仕組みは人間でも共通で、
妊娠中のお母さんの生活リズムが赤ちゃんの成育に重要だと再確認できた。
この成果を元に、早産の赤ちゃんの生物時計をきちんとコントロールできる
保育器の開発などに生かしたい」。
米国のオンライン科学誌「プロス・ワン」で発表。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/07/13/20080713ddm016040048000c.html

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