2010年12月31日金曜日

小学校受験(7)都市と地方に温度差

(読売 12月25日)

「さあ1分で解くんだよ。スピードを大事に、集中して」。
講師の合図で、子どもたちが一斉に国立の福岡教育大学付属の
入試の模擬試験に取りかかった。
「学習受験社ガゼット」本社のある中央教室(福岡市)の年長コース。
試験を受ける12人の表情は、真剣そのもの。

福岡市と久留米市に3教室を展開する「学習受験社」は、
県内で幼児教室と中学受験塾を開校して約40年。
小学校受験では、県内の国立、私立への合格実績でトップを誇る。
子ども4人に講師1人のきめ細かな指導が特徴で、
講師手作りのプリント教材は年間約3000枚に上る。

県内の小学校受験事情について、同社の上迫純一社長(61)は、
「志望校は、福岡教育大付属の3小学校が人気の上位。
いずれも中学までで、付属中を経て、トップクラスの県立高校、
九州大学へと進学するのが『エリートコース』とされている」

受験準備は、かつて家庭でする場合が多かったが、
「10年余り前から付属小のペーパー試験が難しくなり、
教室通いが目立つようになった。
近年、抽選よりも、先に行われる試験で落とす割合が高くなったことも
拍車をかけている」と、上迫社長。

「付属小」、「私立」、「併願」で1年と2年のコースがあり、
最も多いのは「付属小」の1年コース(週1日2時間~2時間半で、
月額約2万3000~2万6000円)。
県内ではこの数年、私立の西南学院小学校や東明館小学校などが開校、
併願が増えているが、あくまでも第1志望は付属小。

首都圏と関西、北九州以外ではどうか?
全国の小学校受験情報をネットで提供する
「小学校受験総合研究所」の高橋秀幸代表(38)によると、
愛知県や広島県など受験熱が高まってきている地域もあるが、
首都圏のような盛り上がりは見られない。

地方は私立小が少なく、国公立志向が強いため、
小学校受験の中心は国立。
複雑な問題は出されず、倍率も低いため、友だちと外で遊び、
自分で服をたためて、お母さんのお手伝いができれば、
対応できる学校が多い」、高橋代表は解説。

幼児教室で季節感や生活習慣を学び、私立小を目指す。
お受験熱は、都市部特有の現象かもしれない。

◆メモ

学習受験社によると、福岡教育大学付属の3小学校の
2010年度入学の受験倍率は、福岡小(福岡市)が
男子4・7倍、女子4・2倍、小倉小(北九州市)が男子2・8倍、女子1・8倍、
久留米小(久留米市)が男子2・0倍、女子2・2倍。
出願倍率が約9~80倍にもなる都内の国立大付属小と比べ、
大きな開きがある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101225-OYT8T00173.htm

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