2010年12月29日水曜日

小学校受験(5)工作 自由にさせ、ほめる

(読売 12月23日)

JR国立駅近くにある「チャイルド右脳教育研究会」(国立市)
教室をのぞくと、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。
「あっ、崩れちゃうよ」、「きれいに飾ろうね」――。

年長クラス最後の工作の授業で、テーマは「お城」作り。
色画用紙を切ったり、牛乳パックをセロハンテープで
張り付けたりして仕上げていく。
ある男子(6)は、「高い高いの作ったよ。
『よくできました』って、先生やママに言われた」とうれしそう。

チャイルドは、1991年の設立
地元国立市を中心に、年中と年長を合わせて約60人と小規模ながら、
桐朋学園小学校(国立市)や国立学園小学校(同)など、
多摩地区の有名小学校への合格実績で知られる。
授業は工作のほか、運動や行動観察、ペーパー対策の指導を
週に1回(2時間)行っている。
費用は月額約3万円。

指導の特徴は、工作に最も多くの時間を割いていること。
しかも、入試に必要な知識やテクニックを教え込むことはせず、
自由にやらせている。
なぜなのか?

数や言葉などをイメージでとらえる力、つまり右脳を鍛えることが、
受験に必要な創造力や思考力、観察力を育むことにつながる。
その手法として、最も重要なのが工作なのです」、
かつて中学・高校受験塾で数学を教えていた山本寿春代表(62)。

山本代表によると、自発性を尊重して自由にやらせ、
良い点を見つけてほめるのだ。
幼児期に自発的に身につけた力は、小学生になってから
読解力やひらめきといった基礎能力になる。

立川市に住む桐朋学園小2年の女子は、年少の冬から
約1年半通ったお受験教室が合わず、年長の春からチャイルドに移った。
母親(34)は、「前の教室は、成績を上げるために厳しく指導され、
娘を追い込んでしまった。
チャイルドでは、良い点をほめてもらい、
自分で考えて楽しく取り組めるようになった」

白梅学園大学の汐見稔幸学長(63)(育児学、教育人間学)は、
「幼児期に押しつけられて勉強させられると、後に問題を発見、解決する
姿勢が失われるばかりか、自尊感情が損なわれる可能性がある」

詰め込みが過ぎると、学ぶ意欲が低下し、燃え尽きることもある。
受験が過熱するなか、長所をじっくり伸ばす指導が支持を集めている。

◆メモ

首都圏の幼児教室情報をネットで提供する「幼児教育情報センター」
によると、東京など1都3県の小学校受験向けの幼児教室数は、
現在400程度で、大半は中小や個人経営。
1980年代後半から増え始め、90年代半ば以降横ばい。
お受験教室を2、3校かけ持ちするケースが、
数年前から目立ち始めた。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101223-OYT8T00185.htm

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