2010年2月12日金曜日

トクヤマの中原茂明会長 「セメント、国内需要減少の突破口は?」

(日経 1月27日)

セメントの国内需要低迷に、歯止めがかからない。
ピーク時、8000万トンあった内需も、2010年度には半減の
4000万トンになる可能性すら現実味を帯びつつある。
今後の見通しと打開策について、
トクヤマの中原茂明会長に聞いた。

——セメント協会の統計では、09年11月時点で、
国内販売量が30カ月連続で前年を下回った。

「一言でまとめるなら、『弱り目にたたり目』。
ピーク時から右肩下がりに。
民主党政権の方針で、公共投資も前年割れは確実に。
住宅、工場建設の民間需要も大きな望みがない。
世界では、新興国での需要拡大が続くが、
国内では『衰退期』に入ったと言っても過言ではない」

——どこまで減少するのか?

「欧米の指標が参考に。
1人当たりのセメント消費量に人口を掛けた数字で考えると、
1人あたり300~400kg。
社会インフラ整備が整った成熟社会では、この水準が続く。
この計算では、日本も4000万トンあたりでおさまるかも」

——需要低迷をどう打開するのか?

需要の開拓を進めなければ、先は見えない。
例えば、道路舗装。
日本では大半がアスファルト、米国では9割がコンクリートを使用。
コンクリートは、狭くて混雑する日本の道路では
舗装に時間がかかると敬遠、一度敷設すると維持がしやすく、
滑りがいいので、車の燃費向上にも役立つ効果」

「高度成長期に建設したビルや橋げたなど、社会インフラの
老朽化に対する建築物の維持補修などへの対策も重要。
生産の過剰設備が多いのは、並の解決策ではないが、
セメント生産が日本から消えて無くなる訳ではない」

——この数年は大きな再編がない。

大きな理由は、産業廃棄物をセメントの原燃料に
投入することが可能になったこと。
1トンのセメントを生産するのに、400kg超の産業廃棄物を
主に有償で受け入れている。
その引き取り価格が高いほど、セメントの生産コストの
引き下げにつながってきた。
化学メーカーも、ソーダ灰など副産物をセメント原料に
投入することが可能で、各社はしのいでこられた」

セメントのJIS規格を満たす品質を確保するには、
産業廃棄物の投入も限界点に達しつつある。
セメント減産で供給過剰が続けば、安売り合戦の生存競争が
始まることにつながりかねず、危機感を持っている」

——どう対応する?

「1つのアイデアだが、セメントメーカー複数社で、
産業廃棄物をまとめて処理する新会社を作るというのは。
生産設備の過剰は、各社で減らす努力を続ける一方、
自社だけで産業廃棄物を丸抱えすることはしなくなる。
化学メーカーのソーダ灰の有効活用も、可能になる」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int100126.html

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