(読売 1月28日)
地域をあげて、和文化教育を実践している。
「豊かな心」の育成を目標に、静岡県島田市では昨年度から、
市立の全小・中学校がそれぞれテーマを決めて、
和文化教育を実践。
研究指定校の一つ、市立島田第二中学校では、
2年の11月から3年の10月まで、木曜午後の総合学習の時間を
すべて「和文化学習」の時間にあてている。
生徒は、「日本舞踊」、「琴・三味線」、「詩吟・尺八」、「陶芸」、
「お茶」、「剣の心」、「紙」、「筆」の8講座から一つを選択、
1年間、継続して学ぶ。
尺八、詩吟など、教員だけでは教えられない5講座には、
地域の人材を活用。
現在、山田流の琴の師範ら14人が外部講師として授業を支える。
華やかな雰囲気に包まれていたのは、武道場。
日本舞踊を学ぶ女子14人が、扇を手に舞っていた。
2室ある音楽室では、琴・三味線を選択する32人が、
琴と三味線に分かれて練習。
琴を学ぶのは、すべて女子。
床に座り、1本ずつ自分で調弦し、ほぼ楽譜に頼らず曲を演奏。
隣の部屋では、男子も参加し、三味線を合奏。
音程をはずす生徒もいたが、最後まで手を止めず、
目は真剣そのもの。
昨年秋、和文化学習の講座を終えた3年生は、
次のように感想を述べている。
「練習するほど感覚がつかめ、充実感があった」、
「集中してものを作る楽しさを知った」、
「和文化は気を和ませ、落ち着かせてくれる」
出足は順調。
「1年間続けて、生徒に落ち着きが出た。
内気な生徒が、人前で動じなくなる効果もあった」と
大谷秀夫校長(60)。
同じく研究指定校の市立島田第三小学校が、
重点的に取り組むのは、「美しいしぐさ・ことば」の習得。
呼吸を意識しながら丁寧にお辞儀をする「三息の礼」を、
全校で実践。
職員室に入る時、必ずクラスや氏名を名乗り、
出る時もきちんとあいさつをするよう指導。
6年生の道徳では、江戸時代の思いやりの所作
「江戸しぐさ」を学習。
授業を参考に、独自の「三小しぐさ」を作ろうとの声が
児童から上がり、何かあった時に相手を気遣って声をかける
「おこころ言葉」などを考えた。
これを受け、高学年の委員会活動の一つとして
今年度新設された「わごころ委員会」は、
三小しぐさを校内に広めていくことに決定。
委員会の会合では、下級生に実演してみせるため、
「ごめんなさい」、「こちらこそ」と、うっかりぶつかった時に
声をかけあう練習をした。
授業では、1年生に俳句創作、4年生に落語の実演など。
13あるクラブ活動は、「焼き物」、「大正琴」など、
すべて和文化がテーマ。
同市の和文化教育には、学校と地域の交流を促進する狙い。
クラブ活動も、地域の人たちがボランティアとして支えている。
和文化が、町の代名詞になる日は近いかもしれない。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100128-OYT8T00263.htm
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