2010年11月1日月曜日

インサイド:広州アジア大会1カ月前 巨大祭典の底流/5止

(毎日 10月17日)

9月、東京で開かれた柔道の世界選手権。
7年ぶりの地元開催で、日本は男女合わせて過去最多となる
10個の金メダルを獲得。

全日本柔道連盟は、金メダリスト9人(重量級の杉本美香は2個獲得)
のうち、7人をアジア大会に送り込む。
女子の軽い2階級は、日本人対決の決勝で敗れた48kg級の
福見友子(了徳寺学園職)と、52kg級の中村美里(三井住友海上)を
選んだが、ともに世界ランキング1位の選手。

JOC選手強化本部長で、アジア大会の選手団副団長を務める
上村春樹・全柔連会長は、「アジアでは、勝たなければならない使命がある。
(12年)ロンドン五輪の疑似体験だと思ってほしい」

今大会の日本選手団は、海外で開かれる総合スポーツ大会としては
初めて1000人(役員含む)を超え、ほとんどの競技がトップ級の選手。
女子バレーと男子体操は、世界選手権との兼ね合いもあって
主力を派遣しないが、競泳の北島康介(日本コカ・コーラ)、
卓球の福原愛(ANA)、陸上女子短距離の福島千里(北海道ハイテクAC)
らがメンバー入り。
その背景には、国の強化策が関係している。

◆「メダル有望」を厚遇

今回は、「国直轄強化」の第1弾ともいえる大会。
文部科学省は今年度、独自の強化事業である
「チーム『ニッポン』マルチサポート事業」の予算として、
前年度比6倍の18億円を計上。

7月、同事業の対象として、五輪のメダル獲得が期待される
「ターゲット競技」を7つ追加し、15競技・種目と拡大。

JOCからの強化費は、政府の事業仕分けの影響を受け、
前年度よりも削減。
国からの支援を受けられるターゲット競技に入るかどうかは、
強化策に大きな影響を及ぼすため、各競技団体は
アジア大会でも実績を残さなければならない。

◆2位確保を目指す

今大会では、選手村近くのホテルを借りきった
「マルチサポート・ハウス」の設置も、「マルチサポート事業」の一つ。
ハウスでは、ビデオとパソコンによる映像解析、マッサージや
メンタル面でのケア、日本食のサービスなどが行われ、
国立スポーツ科学センター(JISS)のスタッフら約30人が派遣。

ターゲット競技に関係なく、全選手が施設を利用でき、
JOCのロンドン五輪対策プロジェクト委員長を務める
塚原光男・選手強化副本部長は、
「選手が、100%近い力を発揮できるよう、いかにサポートするのか。
ロンドンに向けてのテストになる」と期待。

バンクーバー五輪では、米国や豪州がこのような施設を設けていた。
総合スポーツ大会では、選手は原則的には選手村での生活。
外国の選手らと同じ環境で生活することで、交流を図れるメリットは大きいが、
その分、行動も制限される。
ハウスの設置には、国内と同じように利便性を高め、
成績向上に生かそうという狙い。

金メダル数で「世界5位以内」を目標とするロンドン五輪に向け、
JOCは今大会で韓国とのメダル争いを意識。
「中国は抜きんでているが、韓国は上回りたい」と上村副団長。
過去3大会は、金メダル数で韓国を下回ったが、
今回はアジア2位の確保を目指す。

前回は、50個の金メダルを獲得した日本。
国の積極的な強化支援は、今大会の成績にどんな変化をもたらすだろうか。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20101017ddm035050186000c.html

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