2010年10月31日日曜日

先住民の怒り、交渉に火種 遺伝資源の利益配分で 「権利を否定」と批判

(2010年10月22日 共同通信社)

薬の開発に役立つ、植物や微生物などの遺伝資源をめぐる
生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の交渉で、
カナダの先住民グループの代表が、「カナダ政府などが、
われわれの権利をないがしろにしようとしている」と強く批判。
検討中の遺伝資源の利益配分に関する議定書に、
先住民の権利を尊重する文言を盛り込むよう求めた。

多様性条約は、自然と共生して暮らす先住民の役割を重視するが、
カナダは議定書から、国連の「先住民の権利に関する宣言」への
言及をなくすよう要求。
ほかの先進国や発展途上国の一部にも、薬草の使い方など
先住民の伝統的知識を利益配分の対象から巧みに外そうとする動きが。
グループの一部は、ボイコットも辞さない構えで、
今後の交渉の火種となる可能性がある。

カナダの先住民イヌーのアーマンド・マッケンジー博士は、
カナダ政府が20日の交渉で、国連宣言への言及を削るよう求めたと説明。
カナダは、宣言に賛同していないが、
「重要な宣言を無視するのは許されない」。

カナダ・ケベック州の先住民エレン・ガブリエルさんは、
「検討中の案は、随所に『必要に応じて』、『各国の国内法に従い』と
取り組みを弱める文言がある」と指摘。
このままでは、伝統的知識の利益配分や企業の利用手続きに、
"抜け穴"ができてしまう恐れがあると指摘。

米国の先住民のデブラ・ハリー博士は、
「議定書が不十分な内容になることが分かれば、途中で帰国する」と、
ボイコットも辞さない構え。

伝統的知識の例では、アフリカ南部の先住民が空腹を抑えるために
食べていた、サボテンに似た多肉植物が有名。
企業が、ダイエット食品として商品化したが、
こうした知識が開発のきっかけになる場合も多い。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/22/127284/

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