2010年11月4日木曜日

健康ツーリズム定着目指す 人材育成で取り組み 疾病予防や地域活性化

(2010年10月27日 共同通信社)

日常生活を離れ、特定の地域に滞在しながら、心と体の疲れをときほぐし、
健康回復や体力増進を目指すヘルス(健康)ツーリズム

疾病予防や地域経済の活性化策として期待されながら、
各地での取り組みは道半ば。
専門的な知識を持った人が少ないのも普及が進まない一因、
人材育成の取り組みが始まっている。

▽気候や地形活用

和歌山県・熊野地方で、健康保養地医学研究機構
(代表・阿岸祐幸北大名誉教授)が、自然の気候や地形を活用した
ヘルスツーリズムの一つ、「気候療法」の知識を
身に付けてもらうための講習会を開いた。

観光で地域を盛り上げる方法を模索する人ら、
20~60代の計34人が参加。
座学のほか、世界遺産の熊野古道を歩き、
この地で実践されている気候療法を学んだ。

同機構の宮地正典さんは、「この療法は、美しい自然環境があれば、
日本中どこでも導入できる
自然の中で、冷気や太陽光を浴びながら、傾斜地を利用した
ウオーキングなどで体に適度な負荷を掛け、相乗効果を得るのが基本。
温泉などの入浴効果も生かせる。

参加者の1人で、世界遺産の石見銀山がある島根県大田市で、
温泉「薬師湯」を経営する内藤陽子さんは、
大学院でも温泉の健康への影響などを研究する予定。
「『現代型の湯治』を追求し、気候療法も取り入れたいと思っている」

気候療法が、一般に浸透しているドイツを手本にしながら、
同機構は、滞在型の保養地で健康づくりの指導や教育を行える
専門家の育成を進める。

▽長期滞在

地域が、独自に人材を育てているところもある。
かみのやま温泉がある山形県上山市では、
ドイツに研修に行くなどして、昨年15人の「ガイド」が誕生。
ドイツのような健康保養地の「かみのやま版」が目標。
県内のほかの地域とも組みながら、現在の日帰りや
1泊2日のツアーに加え、将来的には長期滞在できるような態勢を目指す。

福島県二本松市の岳温泉でも、ガイドを独自に養成し、
「スキルアップするための講座を定期的に開いている」(岳温泉観光協会)。

ヘルスツーリズムをうたうには、健康への影響を医科学的に実証する
必要があるため、コースの設定などを含め、基礎研究段階の地域も多い。

日本観光協会が今年発行した「ヘルスツーリズムの手引き」の編集に
携わった、田園都市研究所(船橋市)の一場博幸所長は、
本格的なヘルスツアーには、農業や医療面での連携も必要。
徐々に取り組みに広がりを持たせ、地域活性化につなげることが重要。
成功モデルが数カ所出てくると、全国的に盛り上がってくるのではないか」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/27/127535/

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