2010年12月22日水曜日

小学校受験(1)幼児教室 親も子も成長

(読売 12月16日)

横浜市内の私立小学校入試開始まで1週間に迫った10月中旬、
「ジャック幼児教育研究所」横浜元町教室では、
年長クラスの最終日の授業が行われていた。

大半が、名門私立中学への進学実績で知られる
精華小学校を受験するクラス。
工作の授業で子どもたちは、参観席で保護者が見守る中、
青やオレンジ色のビーズなどをひもに通し、ネックレスを作っていた。

1969年に設立された「ジャック」(本部・世田谷区)は、
都内と神奈川、埼玉の両県に計15教室を展開。
ペーパー試験から運動、面接対策まで各種授業をそろえ、
年長ではそれらを組み合わせた志望校別クラスがメーン。
多くが、週1日3コマ(1コマ50分)か週2日5コマ通い、
月額7万3500円~9万4500円。

ジャック理事の大岡史直・横浜元町教室長(48)は、
子どもに達成感を持たせることを指導の柱。
「努力してできたという実体験を、積ませることが大切。
『お受験』合格だけでなく、小学校以降の学ぶ意欲や自信にもつながる」

小学校受験は、「親の受験」とも言われる。
ジャックでは、父母向けに講座を開くなど、親の「教育」にも力を入れる。
授業参観を求めているのも、その一環。
「入試では、季節の動植物や公衆道徳を問うなど、
かつては家庭でのしつけや体験から自然と身につけていた力を見る
問題も少なくない。
教室が代わりに教えている面もある」と、大岡教室長。

背景には、家庭環境の変化がある。
山田昌弘・中央大学教授(53)(家族社会学)は、
「核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中、
母親同士のネットワークもうまく機能しなくなっている」
「家庭教育の術を、お金を払って教室に教えてもらうのも時代の流れ」

現在精華小1年の長男が、ジャックに約2年間通った
横浜市の母親(38)は、家庭で毎日2時間、宿題を見たほか、
絵本の読み聞かせを続けた。
週末は、家族でハイキングや昆虫採集に出掛け、
自然に接するよう努めた。
「教室で学んだおかげで、子育てや家庭教育のあり方を再認識し、
母子ともに成長できた」

首都圏を中心に、小学校受験熱が高まっている。
お受験レッスンはどのように展開され、子どもの成長にどんな影響を
与えるのかを考える。

◆メモ

東京私立初等学校協会によると、東京都内には、
全国の私立小学校の約25%にあたる、54校が集中。
応募者総数(2010年度入学)は1万8451人、
1999年度から2285人(14%)増。
公立校不信のほか、中学受験を避けて子どもの負担を軽くしたい
などの思いもある。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101216-OYT8T00202.htm

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