2011年2月8日火曜日

荒れない学校(1)教員7割入れ替え再生

(読売 1月26日)

「おはようございます」、「こんにちは」。
福岡県内のある中学校では、あいさつの言葉が頻繁に飛び交う。
校舎の窓や廊下は、ぴかぴかに磨き上げられ、
生徒の髪や服装に乱れはない。

朝7時から、有志で校舎周りを掃除しているという3年男子は、
「みんなでやるから楽しい。
だらだらしたら先生に失礼だから、きちんとしたい」
「以前は、どんより重苦しい雰囲気だった」と、教諭の一人は振り返る。

授業中、生徒が勝手に歩き回る。
給食の時間に、ほかの生徒から奪ったパンや牛乳が宙を飛ぶ。
教室や廊下はゴミだらけ。
非常ベルが鳴り、爆竹が鳴り、窓ガラスが割れる。
暴力、いじめも起きた。
教師が、次々に倒れて休職した。

荒れるきっかけは、一部の保護者のクレームに対し、
学校全体が弱腰になったこと。
ほかの生徒や保護者への対応も後手後手になり、
立て直しを図ったが、止まらなかった。

2007年春、荒れの加速を重大視した教育委員会が、
校長と教員の約7割を異動で入れ替えた。

新しく来た校長は、教職員を前に、情報の共有とチームでの対応を宣言。
「スカートの丈が短い」などと注意する時、生徒で差を付けないようにし、
バラバラだった指導を一本化。
「信頼を取り戻すため、教師全員が毅然とした態度を取ることから始めた」
悩みを分かち合うため、勤務時間外の食事会も頻繁に開いた。

生徒に対して、給食、あいさつ、掃除をきちんとできるように
することから着手。
掃除では、教師らが朝6時半に登校、模範を示した。

2年目から、歯車が回転し出した。
生活指導だけでなく、学習指導も軌道に乗った。

ある教諭は、「悪い子は、エネルギーの持って行き場がないから、
学校をはけ口にする。
『おまえたちが学校を変えていくんだぞ』と言い続けていたら、
子どもたちもツボにはまってきた

3年目の体育祭。
ある保護者は、整然と行動する子どもたちを見て、涙を流した。
「前は荒れに荒れた学校だった。感激しました」

今では、保護者や地域からの信頼を取り戻しつつある。
学力も、地域で上位になった。
この状態をどう定着させるか?
教師たちの努力は続く。

文部科学省の問題行動調査によると、09年度の暴力行為は、
中学校4万3715件、小学校7115件で、いずれも過去最多。
昨年10月、桐生市で自殺した小学6年女子児童が通っていた学校では、
学級崩壊が起きていた。
成長の過程で、大半の子どもが経験する心の揺れを、
「荒れ」に変えないためにはどうすればいいのか?

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110126-OYT8T00160.htm

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