2011年2月7日月曜日

国語力を鍛える(11)考えさせる授業が必要

(読売 1月23日)

◆横浜国立大学教授 高木展郎さんに聞く

今回の連載では、国語力の育成に力を注ぐ実践を10例報告。
言語活動の充実をうたった新学習指導要領の全面実施が迫る中、
国語の授業はどうあるべきか?

文部科学省のコミュニケーション教育推進会議委員を務める、
高木展郎・横浜国立大学教授に話を聞いた。

――いま求められている国語力とは何か?

国語力とは、コミュニケーション力。
文章を読み取った上で根拠を示し、自分の体験を交えながら表現できる
PISA(国際学習到達度調査)型の読解力が求められている。
表現には、『考える力』が不可欠で、そのためには言語活動を通して、
言語能力を身につけないといけない」

――言語能力をつけるには、何が必要か?

「まずは小学校低学年から、『聴くこと』を徹底的に鍛えるべき。
あたたかな聴き方ができると、優しい話し方もできるようになり、
子どもたちの自己肯定感が高まる。
そうなれば、学校に子どもの居場所ができ、不登校もなくなっていくはず」

――国語の授業をどのように変えていけばいいか?

文章を読み、解釈するだけの授業から、
考えさせる授業に転換しなければならない。
そのためには、教師の意識改革が必要。
『わかる人?』と問うのではなく、本来は『わからない人?』と
聞かなければならない。
クラスの中にわからない子がいたら、
『どうしたら○○君がわかるようになるだろうか』と子どもたちに問いかけ、
考えさせる授業を行うのも一つの方法」

「ただ単に交流活動をするのではなく、
子どもが文章を読んで一人学びをし、自分の考えを持つことが重要。
その上で、隣の子に説明し、次にグループの話し合いに移行する。
最後は、教室の前に出て発表することで、自己相対化もできるようになる」

――学力観も変わらなければいけない。

「これまでの日本の教育は、知識を持っている子を優秀としてきたが、
これからの国際社会では、知識の暗記だけでは通用しない。
暗記だけならば、コンピューターでもでき、
『考える力』が求められている。
その土台となるのがコミュニケーション力で、授業の中で、
双方向の情報のやり取りができる仕掛けを、
たくさん作っていかなければならない

◆たかぎ・のぶお

専門は国語科教育学。
横浜国立大学教育人間科学部付属教育デザインセンター長。
文部科学省のコミュニケーション教育推進会議で、
教育ワーキンググループ主査を務める。60歳。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110122-OYT8T00217.htm

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