2011年2月10日木曜日

荒れない学校(3)児童支援に複数の目

(読売 1月28日)

福岡県直方市立直方東小学校で、
児童への支援を、校外の専門職も交えて個別に検討する
「チーム会議」が開かれた。

出席者は、川上裕史校長(53)、教頭、学級担任、大学院に在籍する
中堅教師など計8人。

議題は、最近学校生活などで不安定な様子が見られる
高学年女子児童への支援について。
生徒指導担当が司会となり、担任の現状報告の後、支援策の検討に。

川上校長が、「宿題は毎日できていますか」と尋ねる。
「たまに、ですね」と学級担任。
「誰にほめてもらいたいのかな」と校長。
時々本人と話をする中堅教師が、
「お母さんが好きらしい。今度お母さんに話をしてみましょう」と応じる。
養護教諭が、「他の児童との関係は、私が様子を見ます」と提案。

支援の内容と分担が決められ、予定の45分間を15分超過して会議は終了。

この会議は、同小が福岡教育大学の西山久子准教授(45)(教育相談)らの
協力を得て、昨年度から始めた「東小サポートプログラム」の一環。

プログラムでは、まず、不登校、暴力、非行などで長期の支援が必要な
子どもを選び、家庭状況などを書いた個人カルテ、学習面や
対人関係などの情報をまとめた援助シートを作成。
会議の参加者は、これらの書類に目を通し、共通理解のもとで会議を進める。

学校で起きる問題は多様化、複雑化し、
担任一人の能力や経験だけでは対応しきれない。
このため多くの学校で、複数の教職員によるチーム援助を導入、
会議に時間がかかり、結果もきちんと引き継がれないことが少なくない。
西山准教授らが、効率の良いプログラムを、
同小の教員の声を取り入れて開発した。

同小で以前、目をつり上げて教師に反抗ばかりする児童がいた。
両親に聞くと、子育てに悩んでいることが判明。
担任とスクールカウンセラーが両親に助言する一方、
徐々に変わる状況を整理するチーム会議を何度か開いた。
2か月後、児童の表情が穏やかになり、教師の指導に従うようになった。
専門職の意見を入れて、総合的に判断できたのが大きかった」と校長。

不登校を、改善に向かわせたことも。
ある学級担任は、「相談できる環境になり、精神的に楽になった」
川上校長は、「あれこれ話すことで、子どもへの思い入れも共有化できる」

◆チーム援助

チーム支援とも呼ぶ。
学校現場で使われる際、子どもに最適な支援をするため、
複数の教職員が一体となって取り組むことを指し、
1990年代後半から各地で活発に。
保護者、地域の参加も求められている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110128-OYT8T00190.htm

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