2011年2月15日火曜日

荒れない学校(7)規範・優しさ 共存させて

(読売 2月4日)

連載「荒れない学校」に、寄せられた読者の感想から、
荒れの解決案が一つではないことなどが浮かび上がる。

「教員7割入れ替え再生」について、
元小学校教師で東京都内の塾講師木場隆志さん(67)は、
「もし、管理強化、厳罰主義の徹底であるならば、間違いではないか。
教育の原点は、『愛・和・敬の心』と肝に銘じたい

「『非暴力』は小学校から」には、埼玉県の元中学校教師
山田清一郎さん(75)から、「『その場を離れる』だけでは、
根本的な解決にはならない」というメール。

戦争孤児でいじめられた経験がある山田さんは、
悪意を持って、暴言や暴力をやられた場合はきちんとやり返さないと、
甘く見られて、さらにひどい仕打ちをされる危険もある

「親が参加 子ども変わる」に、
「学校、PTA、地域の三位一体がうまくまとまった、うらやましい例」との
声を寄せたのは、東京都のエッセイスト真島久美子さん(54)。

2人の娘を育ててきた真島さんは、
「公立中学を支えるのは地元」といい、
各地で導入が広がる学校選択制への疑問を投げかける。

「たくさんの小学校から生徒が集まるため、
保護者の関係ができていない。
いったん荒れ始めた時、学校を支えられないのでは」

学級崩壊に関する著書がある河村茂雄・早稲田大学教授(51)は、
「学級集団の性格によって、荒れ防止の指導が異なる」

河村さんは、2005年度に実施した全国小中学生約6000人対象の
調査をもとに、ルールが守られているか、
人間関係が親密かで学級集団を五つに分類。

学級が荒れる前段階の集団には、
規律正しいが子どもが教師の評価を気にして活気がない「管理型」と、
のびのびしているが授業中に私語も見られる「なれあい型」の2タイプ。

「管理型」には、子どもへの指導が押しつけにならない工夫、
「なれあい型」には、「親しき仲にも礼儀あり」でルール作りを進めるなど、
指導の重点を変える必要がある。

河村さんは、「管理型が批判され、最近増えたなれあい型の方が
いったん荒れ出すと改善が難しく、いじめも起きやすい。
ルーズな行動を見逃すことと、子どもの気持ちを受け入れることは違う」

あまりに学校の荒れが進めば、教員入れ替え、規律強化など、
“荒療治”が必要な時期もある。

大切なのは、いずれ社会に出る子どもたちの元気な成長。
優しさと規範が、バランスよく共存する学校づくりが求められている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110204-OYT8T00184.htm

0 件のコメント: