2011年2月13日日曜日

荒れない学校(5)地域との縁 自信育む

(読売 2月2日)

「国旗マグネット80円 安い! どうですか」、
「うちわ30円やで、買ってや買ってや」

京都市左京区の一乗寺商店街。
近くの同市立修学院中学校の3年生約200人が、
35店舗の軒先や駐車場を借り、フィリピンの貧困層を支援する
毎年恒例のバザーを開いていた。

売っていたのは、アロマキャンドル、粘土細工、シールなどで、
地域住民に手伝ってもらって作った。
吹奏楽の演奏も披露され、1000人近くの来場者でにぎわった。

生徒も、手伝う保護者も楽しそうだ。
地元の社会福祉協議会の会長で、50年近く地域に住む
河島安生さん(74)は、「昔は、地域住民は学校に近寄らなかったし、
入れなかった。せっかくできた縁が切れないようにしたい」

衝撃的な事件が起きたのは、1998年5月。
同中に通う3年生男子(当時14歳)が、近くの公園で、
同年代の少年らから集団暴行を受け、死亡。

生徒や地域は動揺した。
改善の取り組みが行われたが、2002年春、
現京都市教委学校指導課参与の長者善高さん(61)が
校長として赴任時、生徒の服装は乱れ、教師に反抗して、
あいさつもしない者も少なくない状況で、
地域での学校の評判も依然としてよくなかった。

長者さんは、「世界で一番通いたい学校に」との目標を掲げ、
国際援助活動を、生徒会活動としてスタート。
2年目、生徒が地域の役に立つようにと、
「アントレプレナー(起業家)教育」を総合学習の時間で始めた。
3年目、地元の社会福祉協議会による
小学生の登下校見守り運動への参加を開始した。

4年目秋のある日、長者さんのもとに、住民から
「修学院中は地域の誇りです」という手紙が届いた。
生徒の礼儀正しい態度に感心した。
「感激して、早速生徒たちに披露しました」と、長者さん。

その後、1年生全員が認知症サポーター養成講座を受講。
すると、道ばたでうずくまっているお年寄りに、
生徒が声をかけていたという手紙が届いた。

「みんなが生徒会に協力的で、明るい学校」と、
前生徒会長の3年、小田采さん(15)。
99年度から同中に勤務する秦和之現校長(55)は、
「頑張ってるね、と地域の人たちが声をかけてくれるのが励みになり、
子どもたちの自信につながっている」

◆認知症サポーター


認知症を正しく理解し、地域で暮らす認知症の人や家族を
応援するボランティア。
養成講座を受ければ誰でもなれ、昨年末現在で全国に約200万人。
自治体や企業のほか、小中学校などでも講座が開かれている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110202-OYT8T00158.htm

0 件のコメント: