2011年2月18日金曜日

特集 がん抑制遺伝子「REIC」 岡山大病院、世界初の臨床研究

(2011年2月11日 毎日新聞社)

岡山大病院で1月から、世界で初めて、がん細胞だけを選択し、
死滅される遺伝子「REIC」を使った臨床研究が始まった。

REICは、岡山大が00年に発見したがん抑制遺伝子。
治療の効果を実証できれば、新しいがん治療法として
確立されることが期待。
医療関係者が注目する「夢の治療法」の現状を探った。

◇マウスで効果確認、医療関係者が注目

岡山大病院で、REICを用いた前立腺がん治療の臨床研究が始まった。
岡山県在住の70歳代の男性患者の患部に、
REICと遺伝子を運搬する役目を担う
アデノウイルスを組み合わせた薬を直接、注入。
人体への投与は、世界で初めて。
患者には、実験の目的を丁寧に説明。

岡山大の那須保友・新医療研究開発センター教授、
公文裕巳・遺伝子細胞治療センター長らがプロジェクトを進め、
研究では、手術のみでは再発の可能性が高いと判断された
患者など24~36人を対象、REICを使った薬を投与し、その反応を見る。

REICは、岡山大が00年に発見、特許を取得した遺伝子。
画期的だった点は何か?

がんを死滅させる遺伝子と体内の免疫機能を活性化させる遺伝子、
両方の特徴を併せ持っていたこと。

関係者は、「夢の治療法」と口をそろえて、REICへの期待を熱く語っていた。
実際、期待を膨らませる実験結果も。

腫瘍を持ったマウスを使った実験では、効果が確認。
今回の臨床研究同様に腫瘍に直接、REICを注入。
その結果、腫瘍の消滅、縮小などが見られた。
抗がん免疫を活性化して、がんの転移を防ぐ効果が確認。

岡山大では、米国の大学と共同して人への臨床研究を進めてきたが、
結果的に世界初の臨床実験は岡山大病院に。

マウスであらわれた治療効果が、人でどこまであらわれるのか?
那須教授は、「がんの縮小効果を期待。
研究でいくつか成果が明らかになるだろう。
再発リスクの軽減にも、一定の効果が見込めるのではないか」

今後、REICは前立腺がんだけでなく、
他のがん治療やアスベスト(石綿)が原因で発症する
悪性胸膜中皮腫の治療にも、応用する方針。

中皮腫治療について、臨床研究の申請段階まで進んでいる。
岡山大発、がんの遺伝子治療は確立できるだろうか?
実験の行方が注目。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/14/132310/

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