2011年7月20日水曜日

県の復興基本計画案を説明 住宅再建や仮設などで意見要望 「多重防災型」に異論なく

(東海新報 7月17日)

県が、東日本大震災津波で策定した「復興基本計画(案)」の
地域説明会が、大船渡、陸前高田両市で相次いで開かれた。

高台移転や避難ビルで、「多重防災型まちづくり」を進める計画案の
考え方について異論は出なかったが、住宅の再建に対する支援や
土地利用などに関しての提言のほか、仮設住宅の入居者から
要介護者を抱える家族などに配慮を求める要望。

県は、9月議会に提出する復興基本計画に、県民の意見を反映するため、
地域説明会を各地で開催、廣田淳副復興局長らが概要を説明。

基本計画案は、津波対策の基本的な考え方として、
多重防災型まちづくりを掲げ、暮らし再建、なりわい再生の10の柱を設定。

復興に向けたまちづくりでは、
▽都市再生型
▽都市再建型
▽集落移動型
の三つの復興パターンをデザイン画で示しながら説明。

大船渡会場で開かれ、高校生を含む市民約50人が出席。
住宅移転に関連して、「農地の宅地転用に2カ月かかる。
スピーディーに行うようにすべき」という提言、
県は農地転用の手続きが短縮できるよう、国に特区を設けることを要望中。

特区に関する質問もあり、県はまちづくり、土地利用、二重債務、
漁業再生など九つの特区を国に提言、「人命を二度と失わないよう、
早く防災計画を作るべき」との意見に対し、
計画の見直しを同時に進めていると説明。

岸壁が地盤沈下し、漁船が係留できない現状を訴える漁業者は、
「漁船の係留場所を確保してほしい」と要望。
計画案に盛り込まれた復興教育の具体的な内容を問う質問もあり、
「防災文化を次世代に伝え、いま支援の手が差しのべられている
『つながり』を保ち広げていく」との考え。

陸前高田会場には約100人が参加、要望や提言が続出。

民間で住宅団地を計画している人から、
「100戸規模の建設を計画、土地の売買、造成に対する補助や
相談窓口を設けてほしい」と要望。
実家を流失した被災者は、「住宅再建に対する支援をもっと国にアピールすべき」

住宅再建の支援策について県は、「新潟地震の時に適用された
防災集団移転事業では、用地取得や造成の補助があるが、
住宅建築は利子補給のみ。
住宅の建築資金への補助が無いので、国に要望

浸水地域の私有地について、「地権者に補償したうえで、市や県、国の
宅地造成計画に対して協力するような法改正が必要」、
「土地を嵩上げする時、史跡を残し平泉と一体の観光を進めてほしい」

被災した学校などの公共施設のがれき撤去に、国の補助が無く、
「市の復興の支障になっている」という声に、
県としても国に対応してもらう方向。

仮設住宅の入居者から、家族構成に配慮した住宅の割り当てを求め、
要介護者を抱える人は、「仮設での高齢の母親の介護に不安を持っている」、
要介護向け仮設の建設や仮設間での移動可能を求め、
県では市とも今後検討。

廣田副復興局長は、「早くまちづくりの姿をはっきりさせてほしいとの
皆さんの意見と受けとめ、県としても生活の安定と復興の道筋が
できるように頑張りたい」

計画期間は、平成23~30年度までの8カ年計画。
「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」
を目指す姿。
計画案について、今月末まで県民の意見を募集するパブリックコメントも実施。

http://www.tohkaishimpo.com/

0 件のコメント: