2011年7月23日土曜日

やる気の秘密(6)チーム研修 教師に自信

(読売 5月19日)

「分からない、と子どもが素直に言える学級づくり。
これは大事な課題ですね」

東京・荒川区立尾久第六小学校。
教師たちが科目ごとにチームに分かれ、手慣れた様子で議論。

この日は、年度最後の研究会。
30分ほどで次年度の目標をまとめると、
各チームの代表が模造紙を前に発表を始めた。

同小が、ワークショップ形式の校内研修会を始めたのは5年前。
教員が、50代と20代に偏った年齢構成で、教員同士の
コミュニケーション不足を懸念した長谷川秀紀校長(62)が、
南部昌敏・上越教育大教授(63)に協力を求めたのがきっかけ。
「良い授業は、先生自身が自信を持って授業ができることが第一」と、
南部教授が提案したのは、「チーム」による研修。

3、4人から7、8人のチームで、授業の計画づくりからチームで取り組む。
研究授業は、チームの代表として交代で行う。
教科を問わず、校長以下全員で同じ授業を見る。
この結果、反省点が個人の批判に終わらず、
一緒に課題に取り組む姿勢が共有できる。

鶴田裕子前副校長(53)は、「良い点に注目していくので、
最初は『ぬるい』と感じた」
ベテランも若手も、対等に活発な意見を交わす姿を見て、考えが変わった。
「年齢や経験差を超えた絆が生まれたことで、逆に問題点についても
深く議論できる関係ができた」

「受け入れられている」という安心感が意欲を生むのは、子どもも大人も同じ。
そのことに気付いた先生たちは、子どもたちの様子に、
これまで以上に目を配り、ほめ上手になった。
年10回以上学校に通うという南部教授は、「先生たちも含め、
学校全体で成長を支え合う雰囲気が生まれている」

職員室で、「ちょっと次の授業見に来て」と気軽に声を掛け合う。
この協力体制が生かされた良い例が、昨年4月、同区で全教室に
導入された電子黒板の活用。

ハイテク装置が得意でない先生ももちろんいたが、
「実物投影機」でお手本を書きながら、ノートの使い方を指導したり、
手元で実験を見せたり。
アイデアを共有し、都内で有数の先進校に急成長した。

「同僚に助けられた。今は電子黒板なしには授業ができないほど」と、
昨年度6年生担任の野沢一代教諭(43)。
職員室の風通しのよさが、活気を呼び込んでいる。

◆尾久第六小の校内教員研修

〈1〉教科部会で授業づくり(当初は低・中・高の学年部会で)
〈2〉部会の代表者が授業。授業を見た人全員が教師、
  子どもそれぞれに「良い点」、「改善点」について付せん紙に意見を書く
〈3〉授業の検討会は、意見を模造紙上で整理しながら議論する
  ワークショップ形式。結果を図にして発表、意見交換する。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110519-OYT8T00268.htm

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