2011年7月20日水曜日

やる気の秘密(3)言語能力高める工夫

(読売 5月13日)

45分のうち、わずか約8分。
東京都東村山市立大岱小学校6年2組の社会の授業で、
池田守教諭(30)が話した時間。
残り37分間を進めたのは、ほかならぬ児童33人。

テーマは国連。
冒頭、目的や流れなどが示されると、児童は独自に事実や意見を調べ、
2~3人のグループで内容をまとめ、それを板書。
黒板の前で発表者を相互に指名し、書かれた事実や意見を
確認したり、議論を深めたりした。

「『1945年設立。56年日本加盟』とありますが、何で分かったことですか?」
「設立は辞書に、加盟は資料集に書いてありました。
では、次に○○君、何か意見などはありますか?」

「△△さんの、『なぜ紛争・戦争が起こるのか』というのは疑問なので、
意見だと思います。
その答えですが、資料集に、今も宗教や民族の対立などが原因で
紛争が起きている、と書いてあります」
「そろそろ誰かまとめてください」

この間、池田教諭は発表を聞いて、板書を加えていくだけ。
大岱小の目指す、児童主体の、児童で学び合う授業は
スムーズに進んでいった。

こうした授業を可能にする背景には、独自の取り組みがあり、
それが児童のやる気につながっている。

独自教科書の「まなブック」。
資料や教科書の調べ方のほか、「つまり~ということですか?」など、
学び合いの際に使う言葉「言語わざ」が書かれ、児童は常に活用。

質問や確認をできたら「レベル5」、自分たちで授業を進められたら「レベル7」
というような独自の基準「言語星」があり、
児童たちは今のレベルを認識でき、更に上を目指そうとする。

授業を通じて成長したり気付いたりしたことを、

ノートに書いて提出する「振り返り」、
児童の手によるノートコンクール、独自の算数ドリル・漢字検定、
放課後補習などの取り組みもある。

成果は数字でも証明され、2010年度の全国学力・学習状況調査
(全国学力テスト)で、全国や東京都の平均を上回った。
「思考」や「表現・処理」の観点で分析すると、
全国平均より約20ポイント高かった。

7年かけて授業改革を主導した西留安雄・前校長(61)(3月で退職)は、
「教師が話すだけの授業はつまらない。
仕組みさえあれば、子どもたちは自ら学ぶ。
塾に行かなくても、成績は上がる」

◆言語星

大岱小学校での言葉の使い方に関する規律。
レベルは1~7。
授業前に、日直が目標レベルを宣言する。
各レベルは次の通り。
〈1〉「はい」という返事を大きな声で言える
〈2〉「です、ます」と最後まで丁寧に話せる
〈3〉相手に聞こえる声で、最後まで話せる
〈4〉相手の目を見て話したり聞いたりできる
〈5〉質問や確認をできる
〈6〉わけを添えて意見を言える
〈7〉まなブックを使って、自分たちの力で授業を進められる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110513-OYT8T00224.htm

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