2011年7月19日火曜日

やる気の秘密(2)ボードに意見、課題解決

(読売 5月12日)

「今日は、最後のホワイトボード・ミーティング。
ファシリテーター(進行役)は、メンバーが力を発揮できるように支えてね。
この経験は今後、どんなチームに所属しても使えるよ」

埼玉県狭山市立堀兼小学校の4年2組。
担任の岩瀬直樹教諭(40)が呼びかけた。
「子どもが主役の授業」を実践するこのクラスでは、ホワイトボードが大活躍。

この日の学級活動は、「お悩み相談室」。
一人の悩みをグループで話し合い、交代で進行役を務め、
みんなの意見をボードにひたすら書く。
どんなつぶやきも、否定しないのがルール。
出された意見を線で囲んで整理、解決策につなげる。

この方法を始めて約3か月、話を引き出す質問も、
あいづちも板についてきた。
ある子は、「ケンカのとき、ホワイトボードで話を聞くと解決が早いんだ」
「勉強時間が短い」との悩みに、
「じゃあ一緒にチェックリストを作ろう」と、支援策も生まれた。

岩瀬教諭は近年、異年齢の遊び集団が少ないためか、
人とかかわるのが苦手な子が多いのを感じていた。
自ら学ぶ姿勢を育てるには、教師だけが努力しても効果が薄い。
企業で注目される会議法など、学校外の知恵も積極的に求め、
子ども同士の交流が生まれる参加型の授業に切り替えた。

1冊の本を分量を決めて読み、グループで話し合う「文学サークル」
3学期は、約150ページある児童文学『テラビシアにかける橋』を読了。
疑問や感想を持ち寄り、約30分も話が盛り上がる。
読書が苦手な子も、長編を読み通す自信をつけた。

「作家の時間」と称した作文の時間は、自由な題材で書いた「作家」が、
「作家の椅子」に座って発表。
全員が読者になって、ファンレターを返す。
こうした日々の積み重ねが、どの子も安心して
授業に参加できる雰囲気を作った。

子どもたちが毎日書く「振り返りジャーナル」(日記)には、
「きょうの授業は、みんなが意見を言えて良かった」など、
クラス全体を見渡した記述が多い。
「意欲というのは、他の人と一緒に取り組んだ時に生まれることを、
実感します」と岩瀬教諭。

3月末でクラスは解散した。
ある子は、最後の日記にこう書いた。
「5年になっても、(中略)大人になっても、クラスの友達が
一緒じゃなくても、自分の力でチーム、クラスをつくる。
イワセン(岩瀬先生)、いままでありがとう!」

◆ホワイトボード・ミーティング

「人まちファシリテーション工房」(大阪市)代表のちょんせいこさんが提唱。
ファシリテーターを中心に意見を出し合う「発散」、
課題を見つける「収束」、解決策につなげる「活用」の3段階に沿って、
黒、赤、青の色ペンを使い分け、議論の過程を可視化する。
合意形成や課題解決がしやすく、企業などで活用。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110512-OYT8T00226.htm

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