2011年7月21日木曜日

やる気の秘密(4)職員会議やめ授業研究

(読売 5月14日)

「教師の説明量が多かった」、
「子どもの学び合いが発表会になっていた」。

東京・東村山市の市立大岱小学校の校長室。
1時間前に行われた小林由佳教諭(27)の音楽の研究授業に対し、
次々と課題が指摘。

教師たちは、付箋に書いた課題点を読み上げ、書記担当の教師が
それらをグループ別に分類。
書記担当が、そのグループの主題をピンク色の短冊形の紙に
書いて模造紙に貼る。

続いて改善策。
「板書を効果的に生かしてはどうでしょう」、
「学び合いの時間を増やしては」。
今度は、青色の短冊が貼られていく。
小林教諭はすぐさま、黄色の短冊に書いておいた改善プランを
貼りながら発表。

「説明が多かったので、掲示物で代替します」、
「発表会にしないよう、学びを深めさせるための手だてを考えます」

時間にしてわずか30分。
普通の学校で見られる、良い点の評価などは一切ない。
小林教諭はその後、改善プランの論文をすぐ書き上げ、
模造紙は児童や保護者らも読めるように校内に掲示。

研究授業と、その後のこうしたワークショップ型研究会は年に約40回。
教師1人につき年2回以上。
教える側のこうした努力があって初めて、大岱小の
「児童が主役の授業」は成り立っている。

教師が、こうした研究や授業改善により多くの時間を割けるような工夫も。
その一つが、職員会議の廃止。
2004年度から段階的に縮減、全廃。
通常の学校では、教師数人で担当する校務を1人の責任制にするなど、
校務をスリム化。
「DCAPサイクル」と名付けた同小独自の仕組みも実行し、
教師はより一層、子どもに寄り添う時間を確保できる。
西留安雄・前校長(61)は、「改革には、学校の常識を見直さなければならない」

鳴門教育大学の村川雅弘教授(教育工学)は、
特に職員会議の廃止が独創的だと評価し、こう解説。
「何かを削らなければ、日々の改善も無理が生じて続かなくなる。
子どもから最も離れたものは、何かを考えての結果」

こうした取り組みは、ほかの学校でも可能か?
村川教授は、「授業、研究、経営のそれぞれの改善を連動させることが必要。
異動のある公立校では、市・県単位での努力が求められる」と指摘。

◆DCAPサイクル

運動会の場合、Do(実行)したら、その日のうちにCheck(検証)と
Action(改善)をし、翌年の運動会のPlan(計画)を作ってしまう。
翌年のPlanにかかる時間を大幅に減らす。
通常のPDCAサイクルだと、「Pの比重が大きく、時間がかかる割に、
CとAがつながりにくく、循環が回らないことがある」という反省から、
こうした取り組みが始まった。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110514-OYT8T00164.htm

0 件のコメント: