2007年12月14日金曜日

新しい波/238 広がる人工芝/3 体への負荷増大

(毎日 4月21日)

同志社大学の京田辺キャンパス。
風が吹くと、砂ぼこりが舞っていたラグビー部のグラウンドが今週、
ドイツ製の人工芝に生まれ変わった。

中尾晃監督は、「理想は天然芝」というが、
100人を超える部員が毎日、足を踏み入れることを考えれば、ベターな選択。
地面に落ちているボールへの反応は、土と芝では格段に違う。
けがへの不安や恐怖心、ためらいがなくなり、
技術の向上に役立っていることは、複数の指導者や選手が明言。

世界の普及状況を考慮して日本ラグビー協会は04年、
丈の長いロングパイル人工芝を導入する際のガイドラインを作成。
日本サッカー協会も、03年に人工芝の公認規定などを作成。
サッカーは現在、国内約50カ所のピッチが公認。
両協会とも、人工芝はあくまでも天然芝の代用品である、との立場だ。

人工芝になって、すり傷や打撲などが減った代わりに
足首のねんざのほか、じん帯や半月板損傷などのけがが多くなった
との声がメーカーにも寄せられている。
スクラムを組んだ際、芝がめくれることで選手にかかる力を逃す天然芝に対し、
人工芝はスパイクの引っかかりが強いため、
選手への負荷が天然芝より大きく、腰やひざ、足首の故障を誘発しやすい。

あるメーカーは、導入数カ月間は人工芝の上を裸足で歩くことを勧めている。
足の裏で芝をつかむ感覚に慣れれば、
スパイクを履いた時に力の加減が分かる。
担当者は、「土のグラウンドと違う筋肉を使うので、そこに疲労がたまる。
あらかじめ刺激してやれば、早く順応でき、けがが少なくなる」。
これは、天然芝にも共通する考え方。

ラグビー19歳以下日本代表のフィットネス&コンディショニングを担当する
下農裕久コーチは、けがの予防策として
ウオーミングアップでストップ、ターンを重視。
「普段、土で練習している高校生にとって環境の変化は大きい。
今は大きな問題が起きているわけではないが、考慮しないといけない」。

けがの分析など検証を進めながら、
人工芝との正しい付き合い方を探る段階にきている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070421ddm035070132000c.html

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