2007年12月13日木曜日

新しい波/237 広がる人工芝/2 耐久性が課題

(毎日 4月14日)

ひねって、こすって……。
衝撃吸収性や手触り感は天然芝に限りなく近く、
より耐久期間の長い製品を開発するためのラボテストが繰り返される。
スポーツ用人工芝のシェアでは国内トップにある、
SRIハイブリッドの加古川工場を訪ねた。

スポーツ人工芝ビジネスチームの西川知幸課長は、
耐久年数について「最近は7年から10年」。
天然芝と比べて約3倍かかる初期投資額(施工費)、
約10分の1の年間維持費を勘案すると、
最低でも7年は持たせないとコスト面のメリットが生じない。

だが、天然芝のグラウンドがあちこちにあって
人工芝は補完的な役割にとどまる欧州と、
人工芝が土のグラウンドを代替する日本とでは、事情が異なる。
西川課長は、「日本の使用頻度は(欧州の)5倍」。

都内にあるサッカー場の場合、1日12時間の使用で休日は月1回程度。
ある大学では、体育会の課外活動だけでなく、正課(体育)の授業でも使用。
踏みつけによる倒伏、変色など、ヘビーユース(使い過ぎ)によって劣化は加速。
人工芝は永遠に不滅、ではない。

人工芝のスタジアムでプロサッカーの公式戦も行われる欧州では、
耐久性よりも、ボールの転がりや跳ね方、
スライディングによるやけど防止など、プレー性が重視。
欧州スペック(仕様、性能)の人工芝をそのまま持ち込んでも、
日本では具合が悪い。

天然芝の葉茎に当たる部分は、ヤーンと呼ばれるポリエチレンベース素材。
それを用途に応じ、分量や間隔、長さを変えて、布に縫い付ければ、
人工芝が出来上がる。
ヤーンはテープ状で、縦に引っ張る力には強いが、横には弱い。
各メーカーは、厚みを増すなどして、摩耗しても先割れしにくい
ヤーンの研究開発にしのぎを削る。

JIS(日本工業規格)のように、品質や形状などが定量化できれば、
開発目標は明確になる。
「だが、使う人の感覚で優劣が決まる製品なので難しい」。

本格的な導入が始まって5、6年。
客観的な基準を確立するには、もう少し時間が必要。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070414ddm035070046000c.html

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