2008年4月13日日曜日

宇宙の英知、学ぶ館に 奥州「遊学館」20日オープン

(岩手日報 4月7日)

科学や宇宙に親しむ学びの拠点として期待される奥州宇宙遊学館は、
国立天文台水沢VERA観測所にオープン。21日、一般公開を始める。
遊学館は、取り壊しが決まった旧緯度観測所本館を改修した建物。
市民有志らが保存活動を繰り広げ、新たな施設に生まれ変わった。

隣接する国立天文台の研究員と住民をつなぐ役割も大きい。
歴史を感じさせるレトロな造り、宇宙への思いを膨らませる遊具など
遊学館の魅力を紹介。

奥州宇宙遊学館は、1921(大正10)年に建てられた
旧緯度観測所本館を改修して誕生。
旧緯度観測所は取り壊しが決まったが、
市民有志らの働き掛けが実を結び、生まれ変わった。

旧緯度観測所は臨時緯度観測所として、
世界6カ所の緯度観測所の一つとして設置。
旧緯度観測所の保存・活用を考える会長の佐藤一晶さん(57)は
2005年秋に取り壊すことを知り、
「水沢のランドマーク(象徴)をなくすのは許せない」。

佐藤さんは、地元の町内会、商工会議所などに賛同を求めた。
保存活用を求めた請願は市議会で採択、建物は国立天文台から市に譲与。
賛同者は、現在約300人。
旧緯度観測所は宮沢賢治が訪れていたとされ、
全国の賢治ファンの後押しも。

佐藤さんは遊学館開設に、「最初は、周りから『無理だよ』とも。
これほどうまくいっていいものか」と感慨深げ。

奥州市から、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センター(大江昌嗣理事長)が
指定管理者に選ばれた。
旧緯度観測所に勤務経験がある大江理事長(67)は
「これほど早く進むとは思わなかった。
国立天文台が取り組む月周回衛星『かぐや』の成果も紹介したい」。

館内は、旧緯度観測所が開設された大正期の色合いに近づけた。
木の造りの廊下や階段などレトロな雰囲気を感じさせる。
内装は、木としっくいを基調とするシックな様相。
展示室などの飾り付けも素朴な色合いが感じられる。
天井が高く、窓ガラスの開閉は、上下に動かして行う。
廊下の窓ガラスの一部は、旧緯度観測所のものを使った。
佐藤会長は、
「戦前に建てられたことに、緯度観測所の国際的な価値の大きさを感じる」。

奥州宇宙遊学館は、ドイツ風建築で、木造2階建て。
瓦ぶきで、延べ床面積は635平方メートル。
市は、2007年6月に保存改修工事に着手。総事業費は2億3900万円。

開館時間・入場料 午前9時から午後5時まで。火曜日休館。
大人200円。高校生以下100円。
セミナー室(80―100人)なども有料で貸し出す。
四次元デジタルシアターは週4回予定。
問い合わせ、奥州宇宙遊学館(0197・24・2020)。

http://www.iwate-np.co.jp/kanko/f2008/f0804/f200804072.htm

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