2008年4月13日日曜日

スポーツ21世紀:新しい波/264 日本テニス界の挑戦/上 錦織台頭と盛田基金

(毎日 4月5日)

今年2月、低迷が続く日本男子テニス界に、明るいニュース。
デルレービーチ国際選手権(米国)で、
18歳の錦織圭(ΙMG)がツアー初優勝。
日本人男子選手として16年ぶりの快挙の背後に、これまでにない支援が。

小学生時代に才能を見いだされた錦織は、
13歳で「盛田正明テニス・ファンド」の支援で米国に留学。
海外でも物おじしない態度や、高い技術はここで培われた。

この基金は、日本テニス協会の盛田正明会長(80)が
私財を投じて設立、ジュニア選手の海外留学制度を支える。
協会の会長職とは切り離した個人の活動。

盛田会長は、ソニー創業者の盛田昭夫氏の弟で、
アメリカ・ソニー会長などを歴任。
退職後、趣味だったテニスへの貢献を思い立ち、99年にファンドを設立。
使途について日本のトップ指導者に意見を求めた時、
勧められたのが海外留学制度。
日本人選手が国際舞台で活躍するため、技術の向上のみならず、
外国の生活に慣れることや、語学力などが必要。

盛田会長の人脈を生かし、有力選手を育てることで有名な
米フロリダ州のΙMGアカデミーと連携。日本人選手を送り込むことに。
ファンドの予算規模は年間1億円弱で、00年9月の1期生派遣以来、
これまで計13人を支援。
渡航費や、アカデミーでの授業料、遠征費など、1人に年間数百万円が支給。
錦織のように専任コーチを付ける場合、1000万円を超える。

不慣れな土地での「テニス漬け」の厳しい生活に疲弊し、帰国する選手も。
そんな中で、ようやく育った一人が錦織。
「あしながおじさん」の力で、低迷脱出の糸口をつかんだ日本のテニス界。
錦織の台頭を、今後の選手育成につなげていく努力も求められる。
「海外で選手を育てるだけではなく、いずれは日本で選手を強化したい」
との思いは、盛田会長自身が強く感じている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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