2008年4月19日土曜日

がんタンパク質作るピロリ菌 日本人に多い東アジア型 メカニズム 北大教授が講演

(東京新聞 2008年4月8日)

北海道大の畠山昌則教授が、人の胃のなかにいる
ヘリコバクター・ピロリ菌が胃がんを引き起こすメカニズムについて講演。
畠山教授らは、ピロリ菌がつくるタンパク質
CagAがマウスの体にがんを発生させることを実証
細菌によるがんタンパク質の存在を世界で初めて証明。

胃の粘膜に接着したピロリ菌は、極細の管を延ばして胃の細胞に刺し、
CagAを細胞内に注射。
CagAは、細胞内のタンパク質PAR1と結合
粘膜細胞の結合状態を破壊するなどして、
固く結合していた粘膜の細胞をばらばらにし、胃炎や胃潰瘍を引き起こす。

CagAは、細胞の増殖に関係する別のタンパク質SHP-2とも結合
異常な増殖信号を送る。
この2つの異常が、相互に作用して細胞のがん化が進む。

遺伝子操作技術を使って、CagAを導入したマウスをつくったところ、
マウスに胃がんや小腸がん、白血病などが発生。
CagAが、がんタンパク質であることが分かった。

日本人の約半数が、ピロリ菌に感染。
ピロリ菌にはさまざまな種類があり、大きく、CagA遺伝子を持たないもの、
欧米型のCagA、東アジア型のCagA遺伝子をもつタイプの三つ。
日本人は、欧米に比べて東アジア型が多く、
このことが欧米に比べて日本人に胃がんが多い理由。

この研究成果は、ピロリ菌の除菌が胃がん予防に有効であることを
あらためて証明するとともに、CagAを標的とした新薬の可能性を示す。
CagAが、マウスに各種のがんを引き起こすことから、
「小腸がんや大腸がんも、同じようなメカニズムで起こっている可能性」、
腸内にも発がんに関係する同じような細菌が存在する可能性を指摘。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/technology/science/CK2008040802002011.html

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