2011年5月31日火曜日

インタビュー・環境戦略を語る:楽天・杉原章郎取締役常務執行役員

(毎日 5月23日)

ネット商店街など、多様なインターネット事業を手掛ける楽天。
東日本大震災を機に、グリーンエネルギーや省電力の推進を柱とする
「社会的責任プロジェクト」を打ち出した。
推進役の杉原章郎・取締役常務執行役員に、狙いを聞いた。

--環境への取り組みを強化した。

◆これまでも梱包の簡素化など環境保護に取り組んできたが、
明確な目標は立てていなかった。
震災に伴う電力不足や原発事故によって、
生活基盤が脅かされる事態になり、ビジネスをより健全に続けるには
数値目標も立ててやらなければいけないと、
社員みんなが強く意識するように。

--社会的責任プロジェクト。

◆四つの柱がある。
第一が、新しい街づくりや子供たちのサポートという大きなビジョン。
第二、第三が、グリーンエネルギーの推進と電力消費量の抑制による
地球環境への配慮。
四つ目が、本業を通じて人や社会を力づけ、日本の再生に寄与すること。

--経済界では、原発政策の継続を求める声も強い。

◆原発や化石燃料は経済合理的だと言われるが、
それは安全な生活を維持する社会的コストを十分に考慮しない場合の話。
我々は、生活者が気持ち良く生活できなければ、
経済活動は成り立たないと考える。
楽天が扱う買い物や旅行、証券取引などは特にそう。

--自然エネルギーへの切り替えをどう進めるか?

◆我々は電気は作れないが、会員7000万人を抱え、
日本の大部分の家庭にリーチできる。
例えば、太陽光発電の機材を安く提供する。
楽天市場で、すでに取り組みを始めた店主さんもおられる。
ネットを通じ人や社会を巻き込み、力づけていく
「エンパワーメント」が楽天スタイル。
サービスを通じて、消費者にグリーンな生活スタイルを積極的に提案していく。

--電力消費の削減ではすでに成果が出ている。

◆社員1人当たりの電力使用量の4割削減が目標。
電球を間引き、OA機器を止めるなど、身近にできることを
全て積み重ねた結果、オフィスで3割の削減を達成。
もう一歩進めるため、消費電力の少ないノート型パソコンへの切り替えや、
午後のピークタイムの電力使用量を下げる方策を検討。

--今後の戦略は?

◆省電力は、単なる緊急避難ではなく、コスト削減にもつながる
取り組みと考えている。
ネットサービスの拠点であるデータセンターについても、
外部電源に頼らない自己循環型を目指すなど、
長期的視点で省電力化を一段と進めている。
==============
◇すぎはら・あきお

慶大大学院政策・メディア研究科修士課程修了。97年楽天入社。
楽天ブックス社長などを経て、06年から現職。
11年5月から、楽天ソーシャル・レスポンシビリティ・
プロジェクトリーダー兼務。広島県出身。41歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2011/05/23/20110523ddm008020019000c.html

0 件のコメント: