2011年6月2日木曜日

スポーツ100年:現在・過去・未来/2 テロの影響 ポール・タグリアブ氏に聞く

(毎日 5月24日)

米国の国技とも言えるアメリカンフットボールのNFLは、
米同時多発テロの後、試合を2週間延期。

ストライキを除いて、史上初めてのこと。
未曽有の事態に直面した米スポーツ界は、何を考えて行動したのか?

89年に就任、9・11当時のコミッショナーだった
ポール・タグリアブ氏は、「スポーツ界に必要なのは3R。
Respect(尊重)、Resolute(毅然)、Resilient(立ち直る)だろう」

--9・11で延期を決めた際、「それが正しいこと」と述べていたがなぜか?

◆NFL職員もそうだったが、テロの標的となったニューヨークや
ワシントンのチームでも、肉親や親しい人が亡くなっていた。
彼らの嘆きを尊重(Respect)しなければならない。

ニューヨークは、夜になっても空には煙が立ち込め、ほこりが降っていた。
まるで戦争のような事態で、状況を把握する時間が必要。
心理的な影響は、全米にも広がっていた。

--テロの脅威があっても、リーグ再開を決断したのはなぜか?

ある時点で、前を向いて毅然と(Resolute)歩き始めなければならない。
どんなに困難で何度倒されても、アメフットのように立ち直る(Resilient)。
決断そのものは明快だった。
難しかったのは、反対の立場にある人からも合意を得ること。

--NFLは、ケネディ元大統領暗殺(63年)際、試合を続行して批判を浴びた。
その教訓が、9・11の際にも生かされたのか?

◆参考にはならなかった。
あの当時、ホワイトハウスに相談して続行を決めたのは知っている。
大統領の暗殺と大勢の人々が亡くなった9・11とは、状況が違う。
試合を続行すべきだとのメディアもあったが、
私は立ち止まる時間が必要だと強く感じていた。

--NFLは、今季の日程で9月11日にニューヨークとワシントンで
試合を開催することを発表。どんな意味を持っているか?

◆今年で10年になるが、テロの標的になった都市で暮らす人々が
まだ深い嘆きを持っていることを認識する必要。
とても大切なことで、正しい決断だと思う。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2011/05/24/20110524ddm035050020000c.html

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