2011年7月25日月曜日

特定看護師、創設へ議論

(2011年7月19日 読売新聞)

厚生労働省の「チーム医療推進会議」で、「特定看護師」の創設に向けた
議論が進んでいる。

--一般の看護師とどこが違うのか?

医師にしか認められていない医療行為の一部を行う。
医師から大まかな指示さえあれば、患者の状態を判断しながら、
薬を出したり、簡単な検査や処置を行ったりできる。
5年以上、医療現場で働いた後、大学院などで専門教育を受け、
国が行う試験に合格し、認証を受けることが要件。

--なぜ特定看護師が必要なのか?

医療が進歩して専門的になり、医療スタッフの仕事量が増加。
超高齢化で、在宅医療が必要なお年寄りも増えている。

医療体制の見直しが求められ、厚労省の検討会は昨年3月、
看護師や薬剤師など、医療スタッフの役割を広げて、
互いに連携して治療にあたる「チーム医療」の推進を打ち出した。

看護師は患者に一番近い存在で、チーム医療の要として期待、
それが特定看護師というわけ。

医師不足が深刻なことも、特定看護師導入の後押し。
在宅医療や症状が急変しない病気の場合、普段から患者の生活を
見ている看護師が判断して対応した方が、効率的な場面がたくさんある。

--「看護師が医療行為をして安全なのか?」と懸念する声も。

特定看護師に、どのような教育をするかが重要。
制度ができるのを見越して、国内でも2008年から複数の大学院などが
医療行為ができる看護師を養成するコースを設けている。
厚労省の推進会議は昨年から、こうした養成コースについて、
十分な教育ができるか調査。

4月から、このコースを卒業した看護師が、医療施設で特定看護師として
安全に医療行為ができるか、検証するモデル事業も始まった。
大分県の佐伯中央病院では、「特定看護師」という名札を付けた看護師が、
心臓の超音波(エコー)検査や胃ろうチューブの交換など、
患者相手に医療行為を始めている。

--特定看護師以外は医療行為はしてはいけないのか?

実はそうではない。
看護師は法律で、医師の指示の下、「診療の補助」ができると。
どこまでが「診療の補助」に含まれるかは明らかでないので、
推進会議では、看護師すべてが行える医療行為もはっきり定めようと。
医師から具体的な指示があれば、すべての看護師が、
特定看護師と同じ医療行為ができるようにした方がいいという案も。

特定看護師が行うことを想定されている医療行為は、
技術も難しく、一般の看護師が、特別な訓練なしでできるように
してしまうのは危険だと、反対意見も。

--海外の状況はどうなのか?

米国などの先進諸国では、「ナース・プラクティショナー(NP)」という、
検査や診断、薬の処方を行う「診療看護師」が普及。
東日本大震災では、米国でNPとなった日本人が来日し、
医師が不足した被災現場で活躍。

--日本ではいつごろ制度ができるか?

日本医師会などは、「患者の安全が心配」などを理由に反対、先は見えない。
国民の間の議論も必要。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/19/139534/

0 件のコメント: