2011年7月28日木曜日

日野原重明さん 特別講演 (3)音楽には癒しの力がある

(2011年7月21日 読売新聞)

治りにくい病気として、認知症はなかなか治りにくいと言われている。

認知症という病気は、物忘れがひどくなる。
「あなたのお名前は?」と聞いても、名前が言えない。
「ご主人の名前は?」と聞いても、言えないし書けない。
こういう極度の物忘れをするのが認知症。

認知できない患者を、厚生労働省は「認知症」という病名に。
夜、よく眠れないのは不眠症。
不眠症の患者は、睡眠病といわない。
認知できない人を認知症というのは、
ちょっと名前の付け方がおかしいのではないか。

外国では、認知症の病気を研究した人の名前をつけて、
「アルツハイマー病」といっている。

アルツハイマー病に効く薬が、だんだん開発されてきた。
これらも使い方によっては効果があるとは思うが、
私はアルツハイマー病には音楽療法が効果的だ。

私は、日本音楽療法学会の理事長をしているが、
音楽を認知症の人に聞かせる。

例えば、「故郷」というだれでもよく知っている唱歌がある。
「うさぎ追いしかの山、こぶなつりし」と歌うと、自分の名前も言えない、
自分の名前も書けない人でも、メロディーが聞こえてくると、
そのうちに言葉が浮かんでくることがある。

子供の病気に、「自閉症」というのがある。
自閉症の患者にも、音楽療法士が一緒になって歌ったり、
楽器を演奏したりすると、内にこもっていた心がだんだん解けてきて、
話をするようになったりすることもある。

「どうしてつらいか」ということを、音楽療法士と話をするようになれば、
音楽療法士はそれをお医者さんや学校の先生や両親に伝えて、
どうすればよいかという対策を考えることができる。
自閉症には今のところいい薬はないが、
音楽療法は非常にいい。
歌うことによって、脳が活性化される。
音楽には、癒しの力がある。

私は医者だが、ピアノを弾いたり合唱を指揮したりすることがとても好き。
医療と音楽を結びつけて、音楽が病気に効果があるということを
実証するために、いろいろと症例を集めている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/21/139619/

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