2011年7月27日水曜日

大船渡国際港湾ターミナル協同組合 コンテナ事業にも〝二重債務〟

(東海新報 7月23日)

東日本大震災による大津波で、保有設備が甚大な被害を受けた
大船渡国際港湾ターミナル協同組合は、
各種支援制度を生かした再建策を模索。

修繕費は数億円規模に上り、既存の借入金もあるため、
事業再開には「二重債務」の壁が立ちはだかる。
行政による港湾施設復旧が求められる中、関係者からは、
「震災後に、貨物量が戻らなかった神戸の二の舞になるのでは」

同組合は、平成19年度から本格化した大船渡港と韓国・釜山港などを
結ぶ外貿コンテナ事業で、必要な荷役設備を運営。
市内外の民間企業16社が出資。

約4億4000万円を投資し、県が管理する野々田ふ頭に、
船舶からコンテナを積み上げるハーバークレーンと、
ふ頭内で運搬するリーチスタッカなどを導入。
流失は免れたが、東日本大震災による大津波で甚大な被害を受けた。

内部機械に海水が入り込み、稼働できない。
同組合では、専門業者に修繕費用などの見積りを依頼し、
合わせて2億円以上に及ぶ。
震災前から続く設備返済として、約1億7000万円を充てなければならず、
苦しい判断に迫られている。

自己資本での修繕は難しく、組合では国による、
「事業協同組合等の共同復旧施設補助」への申請を検討。
復旧経費の4分の3補助を受けられる制度、
補助に該当するかはまだはっきりしていない。

該当しても、残り4分の1は自力返済しなければならない。
事業再開できなければ、収入がないほか、震災で被災した出資企業が
多いため、重い負担となる。

国土交通省や県、市などで取りまとめ作業を進める
大船渡港復旧・復興方針素案計画では、地盤沈下対応のかさ上げを含む
港湾機能の本格復旧は、「概ね2年以内をめど」
震災前に多く利用されていた茶屋前・野々田地区の対応を急ぎたい考え、
コンテナ航路の本格運用と支援にも言及。

港湾利用のあり方は、市議会災害復興特別委員会商工港湾専門部会と
大船渡商議所との意見交換の場でも話題。
「阪神・淡路大震災以降、神戸港を利用する船舶が減った。
スピーディーに進めなければ、衰退の一途をたどる

震災前は、地元水産魚の輸出も多く、再開時期が遅れることでの
幅広い影響を懸念する意見も。

港湾も荷役設備も壊滅的な被害を受け、実質的にはコンテナ事業再開に
ゼロから取り組まなければならない大船渡港。
前年度は、本格運用4年間で最多のコンテナ取扱高となっただけに、
協同組合関係者は早期復旧に意欲を示す。

同組合の宮澤信平理事長は、「これまでは、被災していない
県内陸部の荷主も多かった。
来年の半ばくらいには始めないと、荷主は離れてしまう。
上り調子で来ていただけに、各種支援制度を生かしながら、
再開を目指していきたい」

http://www.tohkaishimpo.com/

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