2011年7月29日金曜日

やる気の秘密(12)「型」で伸ばす国語力

(読売 5月28日)

「今度は、ヘリコプターと飛行機の違いを考えよう」。
横浜市のマンションの一室にある「ふくしま国語塾」。
塾長の福嶋隆史さん(38)の言葉に、中3から高2までの4人が
一斉に考え込んだ。
「対比」の力を高める授業だ。

「機体の大きさ」、「乗れる人数」など、比較する観点を考えて表に整理。
福嶋さんが、「『ホバリング』は、実際の動きを見ているから高レベル。
Aマル!」と、その場で評価を下す。
評価は、客観性や独自性がポイントで、最低のCから最高の
「トリプルA」まで9段階。
「翼の有無」といった見た目より、「人命救助が可能か」など
本質に迫るほど高評価になる。

この日は、「マンガと小説の違い」、「写真と映像の違い」などの課題でも
議論が白熱した。
高2の男子生徒は、「学校の国語の授業より、実践的な力がついた実感。
もっとやりたくなる」

小学校教諭だった福嶋さんが、国語の専門塾を開いたのは2006年。
「国語力とは、論理的な思考力のこと。
子どもが武器として使いこなせる『型』が必要だ」
現在、小3から高2まで約70人を1人で教える。
「対比」は、重要な「型」の一つ。

福嶋さんが考える国語力は、三つの柱からなる。
要約したり、抽象的な言葉でまとめたりする「言い換える力」。
物事を対比させて「比べる力」。
結果や結論から原因や理由を「たどる力」。

曖昧になりがちな「国語力」を明快に整理した著書
『「本当の国語力」が驚くほど伸びる本』(大和出版)は、
2009年の初版から約7万部を売り、国語教育書のベストセラーに。
問題集を教材に取り入れる私立小学校も出てきた。

子どもたちを夢中にさせるカギは、条件を限定することにある。
論理的な文の構造を身につけるため、「AつまりB」、「AなぜならB」
といった短作文に繰り返し取り組む。
自由度が低いことで、逆に発想が広がる。

「400字を自由に」では戸惑う子も、「共通点や相違点を書く」、
「30秒間の出来事だけを書く」と条件を絞ると、
とたんに水を得た魚のようになる。

「鬼ごっこのルールを変えるように、目標や方法、評価の方法を限定して
変化をつければ、勉強もゲームに生まれ変わる」と福嶋さん。
やる気の源として、遊び心が上手に使われている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110528-OYT8T00190.htm

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