2008年10月27日月曜日

山積み丸太、住民不安 大船渡港に約13万本

(岩手日報 10月21日)

大船渡市の大船渡港で、埠頭に積まれている約13万本の輸入丸太材。
近い将来、宮城県沖地震の発生が指摘される中、
市民から対策を求める声が上がっている。
津波によって流れ出た丸太が家屋を直撃するなど、
被害が拡大する可能性があるからだ。

港を管理する県は、港湾活用と防災対策の両面で板挟みの状態。
固定した場合の費用負担など課題もある中、
丸太を所有する輸入木材業者も対策の検討に乗り出したが、
「1社だけでは対応できない…」と困惑。

大船渡港の茶屋前埠頭には、ロシアや米国などから貨物船で運ばれた
丸太材がうずたかく積まれている。
通常、埠頭に数カ月保管され通関手続きなどを経た後、
市内の木材加工会社などに運ばれる。

今年10月時点で、丸太は約13万本。
マツなどの針葉樹がほとんどで長さ12メートル、
重さ1トン以上の巨大丸太が多い。
防潮堤を超える4、5メートルもの高さで積まれている。

茶屋前埠頭に隣接する地域の自主防災組織隊長を務める
及川千春さん(62)は、「津波だけだと高台に避難すれば命は助かるが、
丸太による被害拡大が怖い」と心配。

こうした住民の声を受けて、市は県に対して数年前から対策を要望。
しかし、大船渡地方振興局土木部の田村荘弥河川港湾課長は、
「丸太がどう流出するかというシミュレーションも難しい。
業者にワイヤなどによる固定を呼び掛けているが、
現状では有効な手だてがない」

一方、木材を輸入する北日本プライウッド大船渡工場の
川村敬喜・総務担当は、「県内での度重なる地震などを受け、
木材の安全管理について社内で検討を始めた」とするが、
「1社だけで対応できない問題でもあり、関係機関と協議したい」と頭を悩ませる。

昭和南海地震の津波(1946年)では、高知県須崎市の61人の犠牲者の
大半が木材による家屋破壊や下敷き。

大船渡市三陸町綾里の津波災害史研究者山下文男さんは、
「これまで何度も問題視されながら手つかずのままだ。
責任を押し付け合うことなく、関係者できちんとした対策を講じるべきだ」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20081021_14

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