2008年10月30日木曜日

インタビュー・環境戦略を語る:伊藤忠テクノソリューションズ・奥田陽一社長

(毎日 10月27日)

IT(情報技術)事業の省エネルギー化やIT機器の消費電力低減を目指す
「グリーンIT」と呼ばれる取り組みが、日本でも盛んに。
企業から大量のサーバーを預かり、運用を代行する「データセンター」の
消費電力低減は急務。
東京都文京区に大型データセンターを開設した伊藤忠テクノソリューションズの
奥田陽一社長に、環境対策を聞いた。

--新しいデータセンターの特徴を教えてください。

◆まだグリーンITという概念がなかった2年前に、
「業界トップレベルの環境配慮型データセンターを作ろう」と計画。
データセンターのエネルギー効率を図る指標「PUE」
(設備全体の消費電力に占めるIT機器の消費電力。小さいほど高効率)が
1・46と、一般的なデータセンターのPUE(2・3~2・5)を大きく上回る
最先端の省エネ技術を導入したことが売りの一つ。

--最先端の省エネ技術とは?

◆データセンターの消費電力は、サーバーは3割に過ぎず、
機器が発する熱を冷却する空調設備が半分以上を占める。
高効率の空調機器を導入したほか、機器が発する温かい空気と
空調の冷たい空気が混ざらないよう設計し、冷却効率を高めた。
サーバーへの電力供給を、交流方式ではなく直流方式にし、
変換過程で生じる電力損失も最大3割減らすことが可能。

--IT関連の省エネ化は世界的な課題に。

◆機器台数や情報処理量が爆発的に増えて、IT機器の国内電力消費量は
06年に国内全体の5%に達し、経済産業省の予測だと25年に15%以上に。
データセンターの電力消費量も、00年から06年にかけて倍増、
現在は世界全体の0・5%近くまで膨らみ、
業界全体で早急に対策に取り組む必要。

--ITが環境対策に果たす役割は。

経済成長と環境保全を同時に実現するには、ITの活用が欠かせない。
例えば、IT技術を使えば、生産や流通業務を効率化でき、
企業がテレビ会議化や自宅で働くテレワークの導入を進めれば、
移動時に生じる二酸化炭素(CO2)も削減。

--電機メーカーや経産省がIT機器の省エネ化を進める
「グリーンIT推進協議会」を発足。

◆当社は、国際的なデータセンターの省エネ対策団体「グリーン・グリッド」に、
07年に国内企業として初めて加盟、環境対策にいち早く力を入れてきたと自負。
グリーンIT推進協議会とも歩調を合わせて、対策を強化する。
==============
◇おくだ・よういち
米ニューヨーク大経営大学院修了。70年伊藤忠商事入社。
05年6月に伊藤忠テクノサイエンス社長。
06年10月、伊藤忠テクノソリューションズ社長。大阪府出身。61歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/10/27/20081027ddm008020033000c.html

0 件のコメント: