(毎日 8月21日)
「シャーレ」と呼ばれる座席部分を軽く、
スチール製の刃の周辺は重くする。
重心が低くなれば、直線でもコーナーでも安定感が増す。
リュージュ日本チームのソリに関する基本的な考え。
単純なアプローチだが、しっかりした理論に支えられている。
ソリの形状は、3年前から宇宙航空研究開発機構(JAXA)と
共同で取り組んできた風洞実験のデータを基に設計。
ソリの開発は、「航空機の部品やスーツケースの開発に役立つ」、
JAXAの産学官連携事業に採択、ソリの素材の開発研究に着手。
トリノ五輪時、グラスファイバー製だったシャーレを、
航空機や人工衛星などに使われる炭素繊維強化プラスチック製に
変えることで、大幅な軽量化が可能。
規定重量内で、刃の部分を重くできる。
「リュージュ」とは、フランス語で「木ゾリ」の意味。
現在の開発競争は、そんな牧歌的なイメージとかけ離れている。
強国のドイツやイタリアは、自動車メーカーの協力を仰いでいる。
理論を実践する役割を担うのは、札幌市の町工場。
曲線が多く製造の難しいユニットバスの型などを作っている
「遠藤木型」の遠藤貞幸社長が、ソリを設計。
遠藤社長は、「新しいソリは、従来より空気抵抗が8%減る。
重心が低くなると、ソリの上下の間が狭くなり、
強度面でもメリットがある」
日本チームは過去、1台約30万円のイタリア製ソリを使ってきた。
バンクーバー五輪では、エースの原田窓香(信州大)が、
1000万円以上の開発費をかけた国産の新型ソリに乗る。
試作品の試乗を終えた原田は、「扱いやすくなった」
リュージュの最高速は、男子130キロ前後が一般的、
バンクーバーのコースは直線が多く、男子が最高速150キロ、
女子も同140キロを超える。
日本の技術の粋を集めた国産ソリで、「超高速」コースに挑む。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2009/08/21/20090821ddm035050176000c.html
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