2009年8月25日火曜日

学びの情報基地(10)博物館PR 大学生も

(読売 8月13日)

「『秋草鶉図屏風』は、ススキの穂の様子をよく見ると、
左端は秋と夏が入れ替わっていることがわかります。
以前の修復の時に、間違えたのではないかと言われています」

名古屋市博物館の一室。
津田卓子学芸員(31)が十数人の学生を前に、
同館で始まった特別展「新たな国民のたから」の見所を説明。
学生たちが同館をPRするのに役立ててもらうため。

若者の来場者低迷に悩む博物館と、
博物館を大学教育に生かしたい大学。
両者の思惑が一致しての連携が活発化。

PR役を担う主要メンバーの一つが、椙山女学園大学の
山田真紀・教育学部准教授(39)率いる「チーム博物館」。
将来、教師として子どもたちを博物館に引率する時に困らないよう、
博物館の使い方を今から学んでおこうと、
希望者が集まって今年4月に発足。

学芸員の解説を聞き、自分の目で作品を鑑賞した感想も交え、
手製の「博物館かわら版」を作成。
大学のウェブサイトに載せたり、大学、銀行などの掲示板に張って
同館をPRしている。

同大2年の守永光希さん(20)は、「学芸員から裏話を聞くと、
見るだけではわからない作品のイメージが広がる。
来ると楽しい、という感じを伝えたい」

鳥居和之学芸係長(54)は、「ライバルの動物園、科学館、美術館、
映画館に比べて、博物館に若い人があまり足を運んでくれない。
アピールするには、同世代の誘いが一番」と期待。

名古屋市立大学の阪井芳貴教授(52)らのグループは、
「なぜ博物館に人が来ないのか?」という社会調査。
同市内の大学生約500人に聞いたところ、
75%が同館に行ったことがないという衝撃の結果。
「近くでも足を運ばないのは、興味をひく情報が少ないから」
来年早々、改善のための提言をまとめる。

京都造形芸術大学の芸術表現・アートプロデュース学科では、
学生たちが美術館調査を始めて、今年で4年目。
学芸員など美術関連の職種の志望が多く、
「何のため」、「誰のため」の美術館なのか、
存在意義を再確認するのが狙い。

国内外の美術館の入館料を比較したり、学歴、年収、やりがい度などを
尋ねて、学芸員の平均像を明らかにしたり、
学生目線での素朴な疑問から発した調査を次々に実施。
同学科専任講師の山下里加さんは、
「学生は美術館のいい面、悪い面を知って視野を広げ、
美術館は、反省材料に使ってくれたりする。
双方にプラスの効果を生んでいる」

PRを手伝ったり、改善案を練ったり……。
学生が学びを通じて博物館の未来を開く。

◆名古屋市博物館
 特別展「新たな国民のたから」は終了、
 企画展「小栗鉄次郎―戦火から国宝を守った男」を開催中。

◆京都造形芸術大学
 美術館調査の報告書は、実費と送料で配布。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090813-OYT8T00330.htm

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