2009年8月26日水曜日

学びの情報基地(11)市民研究家が「懸け橋」

(読売 8月15日)

博物館を拠点に研究を進める市民が、地域と館をつなぐ存在。

「この骨は、今年4月に亡くなったうちのネコ。
こっちは、3年前の忘年会で鍋で食べたトリの骨」

滋賀県立琵琶湖博物館。
企画展「骨の記憶」で、大津市の学習塾講師永野麻也子さん(52)が、
自ら作った骨の標本を説明。

人間や動物の骨約200点を展示したこの企画展では、
会場の約3分の1が、同館と連携する市民グループの一つ、
「ほねほねくらぶ」のスペース。
メンバーが同館の支援を受けながら、作った骨の標本や剥製などが
展示、メンバーは求めに応じて解説を行うことも。

ほねほねくらぶ会長の会社員山中裕子さん(45)は、
「博物館に、『トリの剥製を作りたい』と言えば、材料を用意、
わからないことがあれば質問できる。素人研究家にはありがたい」

同館と連携する市民の登録制度は、2000年に制度化。
博物館との橋渡し役になってほしいという願いを込め、
縁を取り持つ人といった意味を持つ「はしかけさん」と名付け。
現在は、「近江昔くらし倶楽部」、「田んぼの生き物調査グループ」、
「里山の会」など15グループ354人が活動中。

博物館の理念や利用ルールなどを同館の講座で学べば、
はしかけさんとして登録、グループ単位で様々な研究に取り組める。
日常的に学芸員に相談でき、適当な学芸員がいない場合は、
他の博物館の専門家を紹介。
自分たちでイベントなどの企画や運営もできる。

山川千代美専門学芸員(45)は、「学芸員だけではカバーしきれない
館外での活動も含め、地域の人たちに、琵琶湖の自然や暮らしとの
かかわりを見つめ直すきっかけを作ってもらえれば」

02年に発足したほねほねくらぶは、小中学生を含む28人が
月に1、2回集まり、博物館での学術資料には使えない
動物の死体などを譲り受け、皮をはぎ、解剖し、標本にする作業。
今回は初の本格展示。

はしかけさんグループの中でも、一番古株の「うおの会」(村上靖昭会長)は、
魚とその生息環境を定期的に調査。
04年、地域に呼びかけ、「琵琶湖お魚ネットワーク」を結成する原動力。
同ネットが05~07年、1万以上の地点で行った
琵琶湖水系魚類調査の結果は、7月から同館で公開。

高橋啓一・同館総括学芸員(52)は、
「ここでは、むしろ私たち学芸員がボランティア。
はしかけさんが、どんどん博物館を“卒業”し、研究分野を深め、
地域に広げていってほしい」と期待。

地域とつながることで、博物館自身がよりよい学びの場として成長。

◆琵琶湖博物館
 琵琶湖をテーマに、その成り立ち、人間とのかかわりを表す
 資料や模型、周辺に生息する淡水魚などを展示。
 触れて体感できるハンズオン形式の展示物も多い。
 企画展「骨の記憶」は、11月23日まで。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090815-OYT8T00271.htm

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